内容説明
放射能の拡散は「土」が起点だった
原発事故後、福島の農作物は風評被害にさらされた。「本当に危ないのか、危ないとしたらどんな作物なのか」という疑問に答えるため、本書の著者中西友子氏は研究者を大々的に組織し、広範囲にわたって放射性物質を追跡調査してきた。前著『土壌汚染』では1年間の調査の”速報”として、放射性セシウムがほぼ固着して循環していない傾向を明らかにしたが、本書では10年間の調査の積み重ねをもとに、汚染の仕組みを解明した”確定報告”を行い、類例のない調査結果を信頼できるデータとして示す。放射性物質とは何かという基礎知識から、土壌に着目する理由、検査の現状、農作物や野生動物の汚染の実情、新しい問題までを簡潔に解説する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ゲオルギオ・ハーン
20
東日本大震災により起こった原発事故で発生した放射性セシウムがその後どうなったのか、主に土壌や農作物、家畜、植物への影響を調査した本。一般向けということでセシウム、土壌についての解説からスタートしていてとても丁寧で、調査内容も理解しやすい書き方をしていて読みやすかった。興味深い話は多く、セシウムの影響が大きそうな米は実は汚染が胚芽に集中するため食べる分には影響がなく、影響自体が翌年から大きく減衰していたそうだ。大きいものはきのこで震災の影響で規定値以上のセシウムが検出され出荷量が大幅減となった。2021/11/08
K
1
原発事故後の放射性物質の吸着や蓄積の状況を、農作物だけでなく家畜や森林、河川やダムでの地道な測定により詳らかにする本。森林での放射性セシウムの蓄積は樹木から地表へとその中心が移り、あまり水に溶け出さないと読んで意外でした。家畜も、汚染されていない飼料を一定期間与えれば(クリーンフィーディング)、体内の汚染レベルが下がっていくというのは希望の持てる測定結果だなと感じました。2021/10/06
takao
1
ふむ2021/08/17
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