歴史学者と読む高校世界史 - 教科書記述の舞台裏

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歴史学者と読む高校世界史 - 教科書記述の舞台裏

  • 著者名:長谷川修一/小澤実
  • 価格 ¥2,750(本体¥2,500)
  • 勁草書房(2021/05発売)
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  • ISBN:9784326248483

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内容説明

歴史学者、元教科書調査官、高校教員たちが高校世界史教科書の記述を吟味し、製作の舞台裏を明かす。(1)記述内容と執筆者に関する分析、(2)検定を行う文部科学省、教科書会社、高校教員、受験産業など、教科書というモノ、商品が作られるプロセスや制度、関係者に関する分析、この2方面のアプローチから浮かび上がる実態。

目次



第I部 高校世界史教科書記述の再検討(一)オリエントからアメリカへ

第1章 高校世界史教科書の古代イスラエル史記述[長谷川修一]
 はじめに
 一 高校世界史教科書の古代イスラエル史記述
 二 古代イスラエル史記述の背景
 三 「史実」とは何か
 おわりに

第2章 古代と近代の影としての中世ヨーロッパ[小澤実]
 はじめに
 一 執筆者の問題
 二 現行教科書記述における問題点
 三 現行教科書記述を規定する枷
 おわりに 二〇一八年の高校世界史教科書

第3章 高校世界史教科書の中・東欧記述[中澤達哉]
 はじめに
 一 明治期~昭和初期の中・東欧記述
 二 第二次世界大戦以後の中・東欧史記述
 おわりに 歴史認識を映す鏡としての中・東欧

第4章 高校世界史教科書におけるアメリカ合衆国─人種・エスニシティ・人の移動史を中心に[貴堂嘉之]
 はじめに 研究テーマと歴史教育との関わり
 一 高校世界史教科書の世界
 二 教科書執筆における新しい試み
 おわりに

第II部 高校世界史教科書記述の再検討(二)イスラームとアジア

第5章 高校世界史とイスラーム史[森本一夫]
 はじめに
 一 高校世界史におけるイスラーム史の現れ方
 二 「イスラーム世界の形成と拡大」に関する提案
 三 「イスラーム世界の形成と拡大」以外の部分に関する提案
 おわりに

第6章 高校世界史における日中関係[上田信]
 はじめに
 一 高等学校学習指導要領における世界史B
 二 山川『詳説世界史B』の新旧比較
 三 朝貢に関する記述(山川〈新〉・東京書籍・実教・三省堂の比較)
 四 中国正史における「倭」「倭国」と「日本」
 五 中国人が真剣に調べた日本─鄭舜功『日本一鑑』
 おわりに

第7章 高校世界史教科書と東南アジア[松岡昌和]
 はじめに
 一 世界史教科書における東南アジア記述
 二 「受動的」な東南アジア
 三 日本とのかかわり
 おわりに

第8章 日本史教員から見た世界史教科書─世界史教科書の日本に関する記述をめぐって[大西信行]
 はじめに
 一 世界史B教科書の日本に関する記述の概略
 二 世界史B教科書の日本に関する記述の検討
 おわりに 新テストと世界史教科書

第III部 高校世界史教科書の制作と利用

第9章 「世界史」教科書の出発[茨木智志]
 はじめに
 一 「世界史」授業開始前の状況(一九四五~一九四八年度)
 二 「世界史」授業開始時の状況(一九四九年四月前後)
 三 「世界史」の授業の始まりと準教科書(一九四九~一九五一年度)
 四 一九五一年度用「世界史」検定教科書の挫折と対応(一九五〇~一九五一年度)
 五 初期の「世界史」検定教科書(一九五二~一九五五年度)
 おわりに

第10章 世界史教科書と教科書検定制度[新保良明]
 はじめに
 一 教科書調査官の履歴書
 二 教科書調査官の検定業務
 三 教科書会社と教科書検定
 おわりに 今後の教科書検定に向けて

第11章 官立高等学校「歴史」入学試験にみる「関係史」─その変遷と拡大[奈須恵子]
 はじめに
 一 官立高等学校「歴史」入学試験実施状況についての概観
ほか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かんがく

13
歴史総合が新設されることが決まり高大連携が重視される現在、歴史研究者による高校世界史教科書の読解。東アジア、イスラーム、アメリカなどのそれぞれの専門家が教科書記述の問題点を指摘する章や、教科書検定の検査官がシステムを紹介する章など、どれも興味深い内容だった。高校教員として、教科書を無批判に受け入れるのではなく、最新の研究にもアクセスしていくことが重要であると再認識した。2018/11/28

さとうしん

13
各分野の研究者が高校世界史の記述の問題点や変遷を追うという内容かと思いきや(当然そういう話も多く盛り込まれているのだが)、教科書を執筆する立場や入試問題を作る側からの見方 教科書を検定する側の言い分、教科書を採択する側である高校教員による「現場」からの言い分も収めており、「ここが変わった歴史教科書」式の類書と比べて厚みのある内容となっている。2018/07/07

shizuca

5
教科書ってそうなっているのかー。旧約聖書の内容書いてあるってことは,日本書紀や古事記にしか記載がないことを日本以外の海外の教科書が史実として記載しているのと同じことだよね。それは待った!とても興味深い内容で,教科書のシェアについても参考になった。高校のときは山川の教科書だったので、他の出版社の教科書も読んでみたいと思った。2021/05/25

みずたまり

5
各分野の歴史研究が深化していくなかで、世界史教科書にもその成果が反映されていくことが望まれるが、なかなかそうはならないのが現状。記述内容があまり変化しない教科書のシェアが最も大きく、多くの大学がそのシェアの大きい教科書を参考に入試問題を作成し、高校現場ではその教科書を採用する傾向にある。一方、入試問題を果敢に変革している大学、最新の研究成果を積極的に取り入れようと研鑽している高校教員、新しい視点での教科書編纂に力を入れている教科書会社があり、その各々が連携しようとする動きもあることも忘れてはいけない。 2018/12/12

夕波千鳥

2
教科書検定の舞台裏や各校の教科書採択事情なども整理されていて興味深い。最新の研究動向と食い違うことを知っていながら、大学受験対応のために某社の某教科書を採択し続ける多くの高校。大変残念である。 設置当初の世界史が単元学習で、参考文献を教科書が示し、探究中心だったことも驚いた。当時は一番人気の科目だったそうだ。今一度、初心に帰ってほしい。 戦前の西洋史・東洋史の試験問題が論述形式なのも、今となっては良いところとして立ち返るべきではないか。2020/07/30

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