内容説明
歴史学者、元教科書調査官、高校教員たちが高校世界史教科書の記述を吟味し、製作の舞台裏を明かす。(1)記述内容と執筆者に関する分析、(2)検定を行う文部科学省、教科書会社、高校教員、受験産業など、教科書というモノ、商品が作られるプロセスや制度、関係者に関する分析、この2方面のアプローチから浮かび上がる実態。
目次
序
第I部 高校世界史教科書記述の再検討(一)オリエントからアメリカへ
第1章 高校世界史教科書の古代イスラエル史記述[長谷川修一]
はじめに
一 高校世界史教科書の古代イスラエル史記述
二 古代イスラエル史記述の背景
三 「史実」とは何か
おわりに
第2章 古代と近代の影としての中世ヨーロッパ[小澤実]
はじめに
一 執筆者の問題
二 現行教科書記述における問題点
三 現行教科書記述を規定する枷
おわりに 二〇一八年の高校世界史教科書
第3章 高校世界史教科書の中・東欧記述[中澤達哉]
はじめに
一 明治期~昭和初期の中・東欧記述
二 第二次世界大戦以後の中・東欧史記述
おわりに 歴史認識を映す鏡としての中・東欧
第4章 高校世界史教科書におけるアメリカ合衆国─人種・エスニシティ・人の移動史を中心に[貴堂嘉之]
はじめに 研究テーマと歴史教育との関わり
一 高校世界史教科書の世界
二 教科書執筆における新しい試み
おわりに
第II部 高校世界史教科書記述の再検討(二)イスラームとアジア
第5章 高校世界史とイスラーム史[森本一夫]
はじめに
一 高校世界史におけるイスラーム史の現れ方
二 「イスラーム世界の形成と拡大」に関する提案
三 「イスラーム世界の形成と拡大」以外の部分に関する提案
おわりに
第6章 高校世界史における日中関係[上田信]
はじめに
一 高等学校学習指導要領における世界史B
二 山川『詳説世界史B』の新旧比較
三 朝貢に関する記述(山川〈新〉・東京書籍・実教・三省堂の比較)
四 中国正史における「倭」「倭国」と「日本」
五 中国人が真剣に調べた日本─鄭舜功『日本一鑑』
おわりに
第7章 高校世界史教科書と東南アジア[松岡昌和]
はじめに
一 世界史教科書における東南アジア記述
二 「受動的」な東南アジア
三 日本とのかかわり
おわりに
第8章 日本史教員から見た世界史教科書─世界史教科書の日本に関する記述をめぐって[大西信行]
はじめに
一 世界史B教科書の日本に関する記述の概略
二 世界史B教科書の日本に関する記述の検討
おわりに 新テストと世界史教科書
第III部 高校世界史教科書の制作と利用
第9章 「世界史」教科書の出発[茨木智志]
はじめに
一 「世界史」授業開始前の状況(一九四五~一九四八年度)
二 「世界史」授業開始時の状況(一九四九年四月前後)
三 「世界史」の授業の始まりと準教科書(一九四九~一九五一年度)
四 一九五一年度用「世界史」検定教科書の挫折と対応(一九五〇~一九五一年度)
五 初期の「世界史」検定教科書(一九五二~一九五五年度)
おわりに
第10章 世界史教科書と教科書検定制度[新保良明]
はじめに
一 教科書調査官の履歴書
二 教科書調査官の検定業務
三 教科書会社と教科書検定
おわりに 今後の教科書検定に向けて
第11章 官立高等学校「歴史」入学試験にみる「関係史」─その変遷と拡大[奈須恵子]
はじめに
一 官立高等学校「歴史」入学試験実施状況についての概観
ほか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
かんがく
さとうしん
shizuca
みずたまり
於千代