日常に侵入する自己啓発 - 生き方・手帳術・片づけ

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日常に侵入する自己啓発 - 生き方・手帳術・片づけ

  • 著者名:牧野智和
  • 価格 ¥3,190(本体¥2,900)
  • 勁草書房(2021/05発売)
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  • ポイント 870pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784326653935

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内容説明

自己啓発書はどのように生み出され、誰によってどのように読まれているのか。自己啓発書には結局のところ何が書かれてあるのか。各年代の生き方指南書、「手帳術」ガイド、掃除・片づけで人生が変わるとする書籍、さらには自己啓発書の作り手と読者へのインタビュー、質問紙調査の分析から「自己啓発の時代」を総合的に考究する。

目次

はじめに

第一章 ハビトゥスとしての自己啓発
 1 日常を差異化する自己啓発書
 2 ハビトゥスとしての自己啓発
 3 「自己啓発界」の構造
 4 自己啓発書の読者とは誰か
 5 「薄い文化」としての自己啓発書購読
 6 本書の目的と分析枠組

第二章 「ヘゲモニックな男性性」とそのハビトゥス――男性向け「年代本」の分析
 1 煽るメディアとしての男性向け「年代本」
 2 「群れ」からの脱出――二〇代論
 3 仕事・プライベートの一元的統御――三〇代論
 4 「自分らしさ」の再文脈化――四〇代論
 5 細分化される人生

第三章 「自分らしさ」という至上原理――女性向け「年代本」の分析
 1 迷い・悩みのメディアとしての女性向け「年代本」
 2 「自分らしさ」という賭金=争点
 3 自分らしさ志向の際限なき適用
 4 「女らしさ」からの離脱?
 5 自分らしさ志向の系譜

第四章 「今ここ」の節合可能性――手帳術本の三五年史
 1 「日常」に特化したジャンルとしての手帳術
 2 手帳語りの始まり――一九七九年
 3 手帳術の発見――一九八〇・九〇年代
 4 手帳術と「夢」の節合――二〇〇〇年代前半
 5 手帳術の細密化と飽和――二〇〇〇年代後半以降
 6 日常感覚を共有するコミュニティの形成

第五章 私的空間の節合可能性――家事の自己啓発的転回と私的空間の聖化
 1 「片づけ」で人生が変わる?
 2 掃除の「発見」
 3 整理・収納論における自己啓発的転回
 4 私的空間の節合可能性――「捨てる」・シンプルライフ・風水
 5 聖なる私的空間の消費

終章 自己啓発の時代のゆくえ
 1 「アイデンティティ・ゲーム化」というアイデンティティ・ゲーム
 2 「コントロール可能性への専心」というハビトゥス
 3 自己啓発の時代のゆくえ

あとがき
参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

キク

64
低所得者にとってのパチンコが、中間層にとっての自己啓発本だという指摘に納得してしまう。どっちも淡い夢を見させて中毒者を生み出すことで、産業として成り立っているんだろう、、、コワイですね。男性向けの自己啓発本が「より優秀になって勝ち組になる」系が多いのに対して、女性向けのそれは「自分らしさを手に入れることで幸せになる」系が多いとのこと。、、、色々考えこんでしまった。出版不況のなかで確実に売り上げが見込める自己啓発本への批判は出版業界のタブーになっている。この本を出すことに学術書系出版社の矜持を感じて嬉しい。2021/11/07

zag2

29
自己啓発本が活況を呈していることを、ピエール・ブルデューがディスタンクシオンで示したハビトゥスなどの概念を援用して社会学的に考察した一冊・・・ですね。ディスタンクシオン自体は読んでませんが、100分de名著で取り上げられた際に、難しいながらもスゴい分析だと感銘を受けました。自己啓発本の分析の冒頭でハビトゥスが語られていて、なるほどと思うところがあったのですが、手帳術や片付けなどに話が展開していくと、いささか方向が違ったような感じがしました。自己啓発そのものの話ではないのでご注意を。2021/11/15

きいち

28
当事者(=自己啓発書の読者・作り手)の視点を保って分析していく感じが刺激的で楽しい。私たちが実際に仕事で使ってるような納得感のあるノウハウが<分析対象=自己啓発書からの引用文>として扱われていくので、自分も一緒に参与観察してる気になる。じっさい分析対象は「自己をコントロールする技術」、モノを扱うよな冷めた手つきじゃ何もわからないもんな。◇使われた調査データもいい。<宗教と違って全人格でハマらず場面場面でノウハウを使う><啓発書ユーザーは非ユーザーより社会への当事者意識が高く実際に動いている>。ヒント満載。2015/11/08

24
うーん難しい。タイトルに釣られた。自己啓発書が凡庸な他者との差別化を図るツールだとするなら、その書が流行れば流行るほど陳腐化してしまうっていうなんかもうそもそもパラドックスを孕んでるなという感じ。「啓発書がまずもって私たちに示しているのは、自分自身の変革や肯定に自らを専心させようとする一方で、その自己が日々関係を切り結ぶはずの『社会』を忌まわしいものとして、あるいは関連のないものとして遠ざけてしまうような、そのような生との対峙の形式なのではないだろうか。」(p268)2021/12/13

むーむーさん

22
自己啓発ネタに惑わされないようにしなければ。2017/03/30

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