内容説明
近代日本に現れた<変態>概念を解き明かす!明治維新以降の近代化は、人々を封建的な諸制度の縛りから解き放つ一方で、新たな近代的規範へと取り込んでいく。性科学・心理学・精神医学といった学知を通じ、性欲や心理などの<変態>が問題視されるようにもなってゆく。さらに1920~30年代では<変態>を排除または管理する動きとともに、<変態>をある種の快楽として消費するエロ・グロ・ナンセンスが流行する。<変態>には忌避と憧憬という矛盾するまなざしが併存した・・・。本書は、こうした<変態>と向き合ってきた人物に焦点を当て、近現代の社会・文化を再考する論文集!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
∃.狂茶党
7
タイトルに使っといて、乱歩への影響、乱歩からの影響はあまりないが、この話題について、大真面目に取り上げることは喜ばしい。 秋田昌美など、真面目な書き手はいろいろいましたが、ともすれば下品に傾きすぎる倒錯や変態といった、逸脱(とされるものの)文化史。 変態を指差す「規範」を形作る権力についての話題も読みたかったけれど、元々、読書会だったことを考えるなら、それは高望みだろう。 すこぶる面白いけど、これは、踏み台。 2022/06/21
原玉幸子
0
「変態」を切り口にした、谷崎や三島の文学性が何たるやの論説を期待したのですが、歴史背景として、日本の精神病理医学や霊術に関わる記述が延々と続いたので、まぁいいや、と読み流してしまいました。(●2017年・秋)2020/02/20