内容説明
文芸誌『すばる』に好評連載された同名タイトルの待望の単行本化。20世紀の主要な小説作品の映画化の代表的なカップリングを12組えらび、それぞれの小説と映画のシーンをつぶさに比較対照して分析する。フランス文学研究者であり文芸評論家としても知られる著者ならではの卓抜な視点と明快な論理で小説と映画それぞれの世界に照明をあてる。映画のシーンを髣髴とさせる懇切丁寧な説明で名作、名画を記憶から復元させる大著。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hiro
1
有名小説とその映画化作品を紹介した、楽しいエッセイ集かと思ったら、実際は非常に深くて精緻な考察が延々と続く、ずっしりと濃い重量級の本だった。出て来る小説も映画も既知のものは少なく、文章も一応懇切丁寧ではあるもののついて行くにはかなりの根気と集中力を要した。だから曲がりなりにも通読できただけでも達成感がある。途中で投げ出さなかったのは、本書が私のこれから読む未知の小説の的確な紹介になっていたこと、また著者の実体験を踏まえた洞察や感慨が戦後から現在までの世界思潮の格好の概観を与えてくれたからだ。充実した読書。2021/09/28
をとめ
0
電子2021/05/13