内容説明
科学者であったルネ・デカルトは、自然科学の礎たりえる知識をもとめ、第一哲学=形而上学の再構築に乗り出す。なにひとつ信じられるものがない「懐疑」を出発点に、それでも絶対疑えない原理「我あり」へ、更に「神あり」「物体あり」へと証明をすすめる。本書はその哲学をまず『省察』『哲学の原理』など主著を追ってわかりやすく解説。ついで『世界論』『人間論』を通して、近代哲学の理解に不可欠な自然学的論理を説明する。スピノザ、ロック、バークリ、ライプニッツ、カント、フッサール等々、その後のすべての西洋哲学に強烈な影響力を持ち続けたのは何故か。
目次
はじめに
第1章 デカルトの生涯──一五九六年~一六五○年
誕生
ラ・フレーシュ学院
ポワチエ大学
軍隊──ベークマンとの出会い
神聖ローマ皇帝フェルディナント二世と三○年戦争
フリードリッヒ五世とエリーザベト王女
ノイブルクの炉部屋
三つの夢
『詩人集』と二つの詩
自然科学・第一哲学(形而上学)・方法・道徳
「方法」について──「精神指導の規則」
「方法」について──『方法序説』の場合
デカルトの学問観
とりあえずの道徳
メルセンヌ
デカルトとメルセンヌ
屈折の法則(一つの例)
ベークマンとの決別
『世界論』の公刊の断念
遺稿の出版について
『方法序説』と三試論
「幾何学」のラテン語版
ヘレナと、娘フランシーヌ
『第一哲学についての省察』
『省察』第二版とフランス語版
『哲学の原理』
『哲学の原理』のフランス語版
エリーザベト王女
『情念論』
シャニュとクリスティーナ女王
スウェーデンへ、そして、逝去
第2章 『省察』を読む(Ⅰ)──第一省察~第三省察
「第一哲学」と「形而上学」
デカルトの形而上学と自然学
すべてを疑う(方法的懐疑)
少しでも疑わしいものは偽とみなして排除する
疑いの理由(1)──感覚はときとして欺く
疑いの理由(2)──夢と覚醒の区別が明確ではない
疑いの理由(3)──数学でも間違えたことがある
疑いの理由(4)──欺く神
ハードルが高ければ高いほど
アルキメデスの(支)点
我思う、ゆえに我あり
「考えるもの」としての「心」
蜜訒の話
明証性の規則
「観念」の論理(1)
デカルトの今後の方針
誤りはどこにありうるか
観念の分類──生得観念・外来観念・作為観念
外来観念の考察──似ているか似ていないか
「自然の光」と「自然の衝動」
考察の続き
次の手──観念が表現するもの
「観念」の論理(2)──表現的実在性
もう一つの論理──原因と結果の関係
形相的実在性
観念の原因
観念の別の分類
物体の観念についての考察
物体の観念は私に由来すると考えることができる
神の存在証明
もう一つの、神の存在証明
神は欺く者ではない
第3章 『省察』を読む(Ⅱ)──第四省察~第六省察
神の存在と善なる神
誤謬の原因──知性と意志
神は欺かず、誤謬は意志の制限によって回避できる
物体の観念──その判明な部分
第三の、神の存在証明
最も完全なもの
物体の存在証明へ
想像することと理解することの区別から
感覚・再説
物体の存在証明
物体について知られること
自然によって教えられること
軽率な判断に対して
「誇張された懐疑」の停止
夢と覚醒の区別・再説
第4章 形而上学を支える自然学──物体の本性と観念の論理
『省察』の中の自然学
『哲学の原理』第二部
物体の存在の確かさ
物体の性質
ロックの「一次性質」と「二次性質」の区別の先取り
話を戻して
身体と心の結びつき
物体の本性──重さや固さや色などではなく、延長のみ
真空の否定
原子の否定
物質は限りのない微小部分に分割される
運動の第一原因
慣性の法則
自然学の数学的原理
形而上学の中の自然学
「観念」登場
自然学的基盤
「第二答弁」に付された説明から
『人間論』に見られる「観念」の用法
「観念」の自然学的論理空間
第5章 デカルトの「循環」?──「自然の光」だけを頼りとして
デカルトの学問観・再説
「自然の光」の用法
方法の適用
「自然の光」と「神の恩寵」
「明晰判明」
デカルトの「循環」
「第二反論」での指摘とデカルトの答弁
前提と結論
スキオー系の言葉とノースコー系の言葉
デカルトの答弁
「第四反論」での指摘とデカルトの答弁
第二答弁第四項から
デカルトの言うとおりであるとすれば
クワインの先駆?
明晰判明でないものが支えとなって
第6章 主観主義の伝統と分析哲学の起点──デカルト哲学の射程
デカルトとアウグスティヌス──もう一つ、古くから言われてきたこと
一六三七年に戻って
『神の国』第一一巻第二六章
デカルトの説明
デカルトのネットワーク
デカルトの観念論
すべてを廃棄した上での「我あり」
デカルト的観念論の魅力
すべてを心の側から──主観主義
もともとの「二重存在」構造と主観主義
分析哲学のルーツ
ニーチェとハイデッガー
結びにかえて──フッサールのデカルト評
あとがき
感想・レビュー
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内島菫
うえぽん
またの名
Bartleby
mstr_kk
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