内容説明
「人間の知識の起源と確実性を探求し、あわせて信念や意見の根拠を探求することが私の目的である」。ジョン・ロックは、近代哲学の基盤というべき「認識論」において、最初のアプローチを試みた一人である。しかし、その仕事に対しては誤読が重ねられ、真意は充分に捉えられてこなかった。例えば、ロックは心の直接的対象を観念と設定したため世界へのアプローチを不可能にしてしまったという批判等だ。イギリス経験論の原点となったロックの思想の真意とはどのようなものだったのか?社会思想・政治哲学でも知られるロックの形而上学的真価に迫る。平明な筆致による、書下ろし学芸文庫オリジナル。
目次
はじめに
第1章 ロック略伝──一六三二年~一七〇四年
誕生
ウェストミンスター・スクール
イングランドの王家
清教徒革命
大学
オックスフォードとケンブリッジ
コレッジ(学寮)
クライスト・チャーチ
激動の渦
ロックに戻って──クライスト・チャーチでの学生生活
シニア・スチューデント、そして講師
王立協会
医学と自然科学への関心
自然法論
外交官秘書
シャフツベリ伯
エクセター・ハウス
医師として
キャロライナ基本法の起草と、貿易植民地評議会の仕事
『人間知性論』の草稿の執筆
シャフツベリ伯の下野と、フランス旅行
『統治二論』の執筆
オランダ亡命
名誉革命と帰国
相次ぐ出版
『人間知性論』の初期の版
マサム夫人
晩年、そして逝去
第2章 観念はヴェールではない──仮説の論理の無理解に抗して
物そのもの・観念・心
「知覚のヴェール説」との誤解
古くからの否定的評価
観念
古代の原子論
デカルトの場合
粒子仮説
物そのもの・触発・観念
粒子仮説的な「物そのもの」と、日常的な物としての「経験的対象」
表象的実在論と直接実在論
「物そのもの」の先行
観念の、データとしての役割
カントの「物自体」・「触発」・「表象」──なぜ「物自体」は知られないのか
第3章 経験論──「白紙」からの出発
経験・自然誌・「自然誌的な平明な方法」
フッサールへの影響
知識と観念
生得原理と生得観念
生得原理の否定
生得観念の否定
観念は「経験から」
タブラ・ラーサ
ロックにおける「白紙」と「タブラ・ラーサ」
『人間知性論』のフランス語版とラテン語版
ドイツ語版と「要約」
「インターナショナル」の中にも
「経験」とは
すべての観念が経験から得られるわけではない
複合観念の種類
第四版で加筆された別の分類
問題
第4章 感覚と概念的把握──ロックを心像論者とする誤解に抗して
感覚・心像・概念
バークリとヒュームの誤解
基礎的観念
「物そのもの」の観念
狭義の「実体」の観念
実在的本質
固性の観念
感覚と概念的把握
「延長」の場合
存在と単一性
エアーズの心像論的解釈に抗して
能力の観念の場合
「物そのもの」の観念の形成
第5章 抽象観念説はナンセンス?──もう一つの流言
ナンセンスな抽象観念説?
バークリと、三角形の抽象観念
心像としての抽象観念
人間の一般観念再説
バークリの場合
バークリ説についての若干の考察
ヒュームの場合
カントの場合
カントとロック
第6章 単純観念を求めて──可感的単純観念と可想的単純観念
単純観念の「単純」とは?──同質ないし同種
量的な単純観念の場合
視点に応じての単純性
可想的観念の場合
残る問題
第7章 観察の理論負荷性への視点──モリニュー問題
モリニュー
モリニュー問題
ロックの文脈
観察の理論負荷性
チェセルデンの報告
バークリの場合
『アルシフロン』
カントの『純粋理性批判』に対する批評の中で
ピストーリウスの場合
フェーダーの場合
第8章 現代指示理論の二重のさきがけ──記述主義と反記述主義のはざまで
記述主義の指示理論
反記述主義の指示理論
パトナムの場合
ロックの記述主義
ロックのもう一つの面
自然誌時代の指示理論
第9章 創造的変化の思想──ローティの批判にもかかわらず彼の先駆者として
ローティとロック
問題提起
混合様態に見られる創造的性格
混合様態と言語の目的
生活様式との関係
新たな生活様式と新たな語彙
仮説的探究
補論──ロックの規約主義
あとがき
感想・レビュー
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ころこ
うえぽん
壱萬参仟縁
34
またの名
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