内容説明
コンクリートで蓋をされ、アスファルトで埋められて、道路へと変えられた川や水路たち。かつての水面が地面になったもの、それが「水路上」である。
道路の亀裂でわかる川の跡、ガードレールになった橋の欄干、水車の形を模した遊具――全国各地の水路上を歩いた2人のマニアによる、偏愛に満ちた入門書!
【目次】
第1部 “水路上”観察入門 ~路であって路ではない~
第1章 街角の違和感にはわけがある
1 細長い公園の秘密を探る
2 せめぎあいが生んだ芸術的配列
3 珍しい遊具に秘められた記憶
第2章 “水路上”のもつ特徴
1 見ることのできる裏側
2 境界をつくるもの
3 複雑怪奇なその歴史
第3章 水の記憶のしたたかさ
1 唐突にある謎の池
2 失われた幻の弁財天
コラム1 “水路上”から“水”路上へ
コラム2 路上が“水”路上に変わるとき
第2部 “水”路上観察入門 ~かつての水路を愉しむ~
第1章 “水”路上とは何か
1 路上のフラジリティ
2 “水”路上のいま
3 水辺、草萌える場所
4 よどみへのまなざし
第2章 水面からの視線
1 水面から見上げるもの
2 蓋on蓋~“水”路上にかかるもうひとつの蓋~
3 川岸としての擁壁を味わう
第3章 水の名残りとしての橋
1 かつての水路に残る「暗橋(あんきょう)」
2 「野良」暗橋はロックだ!
3 はみだす暗橋たち
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sofia
31
「路上観察」(トマソン)と「暗渠」(水)が混ざっているではないかと読む。大きな暗渠小さい暗渠が出てくる。東京の東側はよくわからないが、浮世絵や写真と現在の暗渠状態を見るのはおもしろい。いきなりフラジャイルという言葉が連呼され、ページを戻す。首都高と水の関係はなるほどと。個人的には暗橋も非常に好きだ。地名も変更してはいけないが暗橋もこっそり残していてほしい。2023/07/02
Roko
26
神田の今川橋(今川焼発祥の地)、有楽町の数寄屋橋(岸恵子さん主演の「君の名は」の待ち合わせ場所)など、地名としては残っていても、川も橋もないところがたくさんあります。新橋だって駅名としてしか残っていませんね。春の小川の渋谷川はキャットストリートという名前になって、すっかりお洒落な通りになってしまいました。暗渠されても、元が川であったところは微妙な蛇行があるので、昔は川だったのだろうなと想像できたりします。橋の欄干や護岸が残っている所もあって、散歩しながらそういうものを見つけるのは楽しいですね。2021/06/14
Tadashi_N
19
暗渠以外も掲載されている。水路からの風景もある。2022/08/12
多喜夢
9
超芸術トマソンへのオマージュ。暗渠の橋(著者は暗橋と命名)の分類には笑ってしまった。東京の街歩きに役立てようと思ったら、なんと千葉のホントに身近な暗渠が出てきてびっくり。2021/07/03
Mariko
6
全く無知識で読んでみたけど分かりやすかった。水路から見たまちの成り立ちから暗渠や暗橋の見つけ方、楽しみ方まで。何より著者おふたりが水路上観察をとても楽しんでいて読んでる方もわくわく。「地図や現地に違和感をおぼえ、なぜそうなったのかを探ってみると…」今すぐまち歩きに出たくなる。2021/05/05