内容説明
高校生になった智成の日常は少し変わっている。死者が見えるのだ。吹奏楽をやめ、早朝バイトをする智成は、夜明けには消えてしまう彼らとの、この静かな時間が好きだった。
だが、親友の妹・優子との突然の再会がすべてを変える。
「文化祭で兄の遺作を演奏する手伝いをしてくれませんか」手渡されたそれは、36時間もある壮大な合奏曲で――。
兄を失った優子。家族と別れられない死者。後悔を抱える智成。凍り付いていたそれぞれの時間が、一つの演奏に向かって、今動きはじめる。
「主人公たちの幸福を願わずにはいられない、愛おしい物語」(三上延)、 「これは小説でしか表現出来ない音楽だ。最後の別れはキラキラと輝いていた」(佐野徹夜)――感動と推薦の声!
「さよなら」ができない、すべての人に届けたい感動の青春小説。応募総数4,355作品から選ばれた第27回電撃小説大賞の《メディアワークス文庫賞》受賞作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
44
失われた過去に向き合えず、吹奏楽をやめて新聞配達の早朝バイトを始めた高校生の智成。そんな彼と親友の妹・優子との突然の再会から全てが変わりはじめる青春小説。死者が見える智成と夜明け前の彼らとの静かな時間。文化祭で兄の遺作を演奏する手伝いを依頼してきた優子に渡された36時間もの壮大な合奏曲。吹奏楽部や顧問を巻き込んで始めた挑戦は、過去に悔いを残す登場人物たちの止まっていた時間が再び動き出すことにも繋がっていて、向き合って作り上げた彼らの演奏と、その先にもたらされたそれぞれの決着がなかなか印象的な物語でしたね。2021/04/25
坂城 弥生
41
青春ものとファンタジーがミックスされた物語。2021/10/18
綾@新潮部
31
【読メ献本当選】夜明けまでの時間、死者を見たり会話できてしまう主人公・智成と、亡くなった親友の遺した36時間もある合奏曲を演奏することになった吹奏楽部員&死者たちの青春小説。親友の妹である優子も重要キャラ。吹奏楽に関わった人はもちろん、詳しくなくても大丈夫な程度に書かれているのでわかりやすく、会話も多めなので読みやすかった。それぞれの進む道がふんわりと見えてくるところもアオハルだなぁと。読後感もいい。2021/05/23
日坂愛衣
26
最初は淡々と物語を進む、雰囲気的も緩やかな感じがする。そして第4章から一気にテンポが早くなる、物語の熱量や皆それぞれの思いを混ざる合奏は素敵と思う。特に顧問先生の思いは好き。そして最後の優子の涙と”綺麗になった”もいいシーンと思う。確かにロマンチックなお話。2021/04/26
稲荷
24
表紙買い。人との繋がりの大切さを改めて感じさせてもらえる作品だった。もう少し登場人物達のことを知りたかったけど、きれいにまとまっていたと思う。2021/06/16