内容説明
郷土史家だった祖父が死んだ。顔も知らない祖父に複雑な思いを抱いていた大学生の晶は、弟の雫と共に遺品を処分することに。だが、雫が見付けた遺稿「巷説山埜風土夜話」をなぞるような不思議な事件に次々と巻き込まれ……。怪異に隠された優しさを照らし出す風土幻想奇譚!
目次
プロローグ
消えた墓標
夏の記憶
鬼の棲む家
まれびとさん
月の水際
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
40
顔も知らない郷土史家だった祖父が死に複雑な思いを抱いていた大学生の晶が、弟の雫と共に遺品を処分するために向かったその家で小話集を見つける風土幻想奇譚。様々な人に出会うたびに自らが祖父と似ていることを痛感させられる晶。水没した村の天狗伝説の真実、深山に眠るマンボウ探し、かんざしから明らかになる故人の無念、六部塚の呪いの原因、灯篭流しで助けてくれた声など、事件を通して今まで知らなかった祖父を知るたびにその印象も変わっていって、様々な怪異に遭遇して窮地に陥る晶を助ける雫の不思議な能力がまた要所で効いていました。2021/05/27
イシカミハサミ
6
内容的には夏目友人帳。 亡くなった祖父。 会ったことはない。 積もる恨み。 遺品整理。 来る生前の知人。 知らされる人となり。 ラストは想像よりも 一般論的なエンドだった。2021/07/09
なぎ
4
絶縁状態だった祖父が残した遺稿を見つけた晶、その内容をなぞらえたような不思議な事件が起きて巻き込まれていく。民俗学が好きなので興味深い話ばかり。「まれびとさん」は終盤特に怖くて、逃げずに対話しようとした晶さんマジで勇者。隠したかった真実をこういった形で残していくのは素敵だなと思いました。晶のお祖父さんは不器用で不幸にもタイミングが悪かったのだろ。あの世との境で晶を引き止めたのにはジーンときました。全てを受け入れられなくても少しずつお祖父さんと向き合ってほしいです。晶と雫のブラコンっぷりにニマニマしました。2021/05/12
砂ちゃん
3
怪談になぞらえた事件を解決してゆく話かと思ったら、かっつりホラーになった(泣くぞ)。一段落はしてるけど、家が片付くまでは続けられませんか? 続いたら、怖くても読む。2021/07/11
栗山いなり
3
序盤はミステリ色が強いなって思ったけど終盤になるにつれてホラー色、伝奇色が強くなっていくのを感じた小説2021/05/05