内容説明
◆待望の一冊!
廃園から楽園へ。
(正岡豊)
のほほんと、くっきりと、あらわれ続ける言葉の彼方。
今ここをくすぐる、花の遊び。
読んでいる私を忘れてしまうのは、
シャボン玉のように繰り出される愉快のせいだ。
(鴇田智哉)
◆収録作品より
あたたかなたぶららさなり雨のふる
ミモザちる千年人間のなきがらへ
日々といふかーさびあんか風の羽化
うららかを捧げもつ手の手ぶらかな
さらばとは聞かで消えたるのどかさの
春てぶくろにおぼつかなくも棲む海か
きのふより少し古風な木に出会ふ
鳴る胸に触れたら雲雀なのでした
ひきはがす東風とペーパーヒコーキを
朧夜がなにもない巣を抱いてゐる
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yumiha
21
「まなざしがゼリーぢーっとしていると」ぼんやりしている焦点ボケ状態。「秋草やオープンリールの音がして」秋草に触れてシャラシャラする感じ。「長き夜のmemento moriのmの襞」の「長き夜」は動かない季語。「ゆけむりの人らと少しかにばりぬ」カニバリズムの動詞形?女湯ってこはひ。2017/03/13
pirokichi
19
2017年田中裕明賞受賞。俳句を中心に漢詩超訳、短歌、散文詩、小説、エッセイを含む。ついていけなさそうで5年位積んだままになっていたが、本棚を眺めていて軽やかなタイトルと明るいカバー画に心惹かれ久しぶりに手に取った。〈ぷろぺらのぷるんぷるんと花の宵〉〈夢殿やくらげの脚をくしけづる〉〈しろながすくぢら最終便となる〉中島敦の『意味の変容』に異議を唱えた「天蓋に埋もれる家」、エッセイに俳句を組み込んだ「出アバラヤ記」はちゃんと理解できてないながらも面白かった。〈長き夜のmemento moriのmの襞〉2022/03/27
だーぼう
14
梅雨前に読み終われども空を切る。知ったかぶりしてもしょうがない。俳句を理解できるようになりたい。ブログに感想を書きました。2019/06/19
もれ
3
小津さんの俳句と短歌集。 俳句や短歌の知識や教養は私にはなく、読みきれてないところが多いだろうけれど、何度も舌で転がしたくなる。そういう意味では、意味を越えて音で楽しめるので面白い。日本語だけど、外国語のようでもあり、でも全く知らない言語というわけでもないので、なんとなく想像しては楽しむ。2021/05/08
;
3
複数の詩型を越境しつつも力の入りすぎることもなく自在にさまざまな言葉やイメージを引いて、優雅に一冊の本を作り上げている著者は句集の最後にこう記すーー「文字に触れるときの私は、思い出に耽りつついまだ知らない土地を旅している。それは散乱する〈記憶〉の中から〈非‐記憶〉ばかりをよりすぐる、あたかも後衛と前衛とを同時に試みるかのごとき奇妙なフィールドワークだ。(……)私はちょうど海を眺めるときと同じように自分が〈記憶〉と〈非‐記憶〉との汀、即ち〈現在〉に対して開け放たれてあるのをずっと感じつづけていた」2019/02/27
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