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内容説明
「婆娑羅」という言葉をご存じでしょうか。室町時代初期に上級武士の間で猖獗を極めた乱暴な行動様式のことで、
戦国末期に流行った「傾奇」の先輩と考えるとわかりやすいでしょう。この婆娑羅の代表が、本書の主人公、佐々木(京極)道誉です。
『太平記』の中で、楠木正成と並んでもっとも魅力的に描かれるこの男の生涯を通じて、日本人の美意識、出処進退の源流に
迫ろうというのが本書の目的です。
なぜ美意識か。現代で「道」とつく芸術、たとえば茶道や香道、花道といったものの源流は、すべてこの男にあるからです。
花道では池坊専慶が花道書を記す200年以上も前に、道誉はそれを書き残しています。
また、婆娑羅は「乱暴狼藉」と同意語のように思われていますが、さにあらず。意のままに振舞っても、
そこに確固たる美意識があれば、それは狼藉ではなく、「道」に通じる。ここに筆者の「男の生き方の理想」すなわち「自由」の境地を
道誉で示そうという目論見があります。後半では、婆娑羅の後継者ではあるが、どんどん矮小化されていった傾奇者、
さらに三島由紀夫の自決の美意識も取り上げ、「見事に死ぬこと」しか男ぶりを示すことができなくなった時代の悲哀にも迫ります。
ゲーム「戦国BASARA」などの影響で、BASARAもしくはバサラという言葉は今の若い人たちにも親しみがあるようですが、
本物の婆娑羅を楽しんでみてください。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
29
子供のときに吉川英治さんの『私本太平記』を読んで以来佐々木道誉に関しては惑星的なイメージがあり、読む前の期待値はかなり高かったです。思っていたものとは異なりましたが、第1章と第2章は良かったです。2022/12/09
みこ
20
タイトルに名前が入っているだけで惹きつけられる佐々木道誉の史伝。とはいえ、彼の生涯を順を追って紹介したものというよりは彼の愛したものを通じて婆娑羅とは何か、それが後世に与えた影響は何かについて書かれているので、南北朝時代の歴史の勉強にはならない。婆娑羅から傾奇までの流れは分かるが、そこから三島由紀夫にたどり着くのは流石に少々すっ飛ばし過ぎの感が否めない。それでも酔狂と思われた彼の一途な面が垣間見えて、政治的に一貫して尊氏・義詮に仕えた義理堅さの一因は掴めたかも。2021/06/08
bapaksejahtera
12
室町期の婆娑羅大名佐々木道誉。太平記で楠木正成と並ぶ魅力的人物の生涯を追うことで、日本人の美意識のある部分を作り上げた人物を、極めて文学的美文を以て描く。華道、聞香、茶道、和歌連歌等への深い理解と共に、大名・武士としての力量を十分発揮しつつ、疾風怒濤の時代を自由闊達な精神で生きた人物像が描かれているとは思うが、同時代の婆娑羅人物への論究はやや薄い処へ、後世の傾奇者や西洋のダンディズムに話が移り、やや当惑の読書となる。人物叢書など然るべき土台を得てから読むべき本と言っておこうか。2022/04/24
nagoyan
11
優。いささか古めかしい解説と実証史学とは異なる価値判断的な、換言すれば芸術的な観点からの道誉の人格と係る人格の生まれた社会的・歴史的な背景が語られる。東洋的な「自由」論や江戸前期までの傾奇の歴史などにも目が配られる。2021/05/06
saladin
5
もっと佐々木道誉自体に焦点を当てて欲しかったなというのが読了後の感想。4・5章はわざわざ章立てするほどの内容では…。某大河ドラマに道誉の5代前の佐々木兄弟が出てきたので、タイムリーかもとは思ったけれど。2022/02/09
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