内容説明
マタギとはただ獲物を狩るだけではない。
茨城の石油会社に勤めていた猪俣昭夫さんは、父の死を機に23歳で福島県金山町に帰郷。そこで猟師のマタギたちと深く接し、その技能や知恵を体得する。
以来、仕留めたクマは80頭以上。70歳を超える今でも冬は猟へ向かう。だが、ただクマを仕留めるだけでなく、「必要に応じて獲物を獲り、数を調整することで動物系、自然系の生態を守り、人間と自然の共生を図ることが自らの使命」だと考える。
春~秋には養蜂やヒメマスの養殖、野菜の収穫を行ない、自然の恵みを享受。そんな彼に師事したいという2人の若者も現われた。
奥会津の最後のマタギ。その2年間に密着した。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
92
マタギとはクマやイノシシ、鹿などを狙う猟師と思いがちだが、実は年間を通しては狩猟以外にも、山菜とりや畑仕事、きのことり。罠の仕掛け作り、川釣り、猟銃の手入れ他、しなければいけない事だらけということを改めて知った。まさに山を知り尽くした人だけが出来る仕事だ。あちこちでクマや鹿の出没で人も作物も被害を受けることがとても大きくなった。それに対応出来るだけのマタギはもう少ない。高齢化で、山での仕事をする人材はもっと減るのは間違いない。そのまま山は荒れ果てるのは時間の問題だと思った。2024/11/15
ykshzk(虎猫図案房)
28
この本を読んですぐ頭に浮かんだのは宮沢賢治の「なめとこ山の熊」。自然への感謝と畏怖を常に持ちながら、自然の一部として対等に生きるマタギの猪俣さんの思想は至極まっとうだし、私たちが学ぶべきことは多い。自然は厳しい。多くの恵みをくれるが、真剣に対峙しなければ人間など簡単にやられる。山に入る時は神経を張り詰めねばならない。山の神に挨拶をし、獲物を仕留めたら祈りを捧げる。自然に対する態度はそのままその人の生きる姿勢。若いマタギの弟子達が地域に根差しつつあるようで良かった。しかし自然が変わってきている問題は切実。 2024/05/31
ようはん
17
福島県の奥会津にある金山町の最後のマタギである猪俣昭夫さんを取材した内容。猪俣さんのマタギとしての仕事は狩猟だけでなく金山町の特産であるヒメマス養殖や赤かぼちゃ栽培、養蜂等と多岐にわたりドローンまで活用しているのは凄い。2021/12/03
たつや
5
図書館で偶然見つけ、借りた一冊です。が、大当り、すこぶる面白かったです。現役マタギに密着取材したレポート的な本ですが、読了後は、ドキュメント映画を観た様な余韻が残った。昨今では熊が人里に浸入しているので、減らずにマタギには増えてほしいと思う。2023/11/05
後藤良平
4
先日行ったばかりの金山に、マタギが居たとは!2ページ目の、道の駅かなやまを見下ろす崖山の写真で一気に読み始め。自宅が会津川口駅前とは。今度その不二屋食堂に寄ってみよう。養蜂、ヒメマス養殖、赤カボチャ、きのこ狩り。全て若者が金山で暮らしていくためのお金を得られるように考えて取り組んでいる。最後のクマとイノシシ猟が特に印象深い。撃ったクマの血を飲み、命の尊さを若者が実感する。そして熊谷さんの小説で読んだ巻き狩り。今もあるのか!。40年ぶりだという。一度観たい。年間No.132榴岡図書館2021/11/23
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