狂女たちの舞踏会

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紙書籍版価格 ¥2,640
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狂女たちの舞踏会

  • ISBN:9784152100153

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内容説明

19世紀末、パリ。少女ウジェニーは「霊が見える」と告白したために、家族に勘当され精神病院に入れられた。そこでは女性の苦悩やトラウマが「狂気」と診断されていた。病院で行われた公開講義や舞踏会の史実を元に、社会から排除された女性たちを描いた小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヘラジカ

48
連綿と続く家父権の強さやミソジニー、マイノリティと弱者を抑圧し排除するシステムなど、安易にも現代社会に通じる部分に意識が向きがちだったが、物語としてもショッキングで神秘的、非常に惹きつけられる作品である。単にリアリティにばかり拘っていては、逆にここまで痛切で考えさせる作品にはなっていなかっただろう。文学的なテーマとしてはオーソドックスな部類を、デビュー作でこうした形で物語に出来る作者の才能に感心した。ジュヌヴィエーヴがたどり着いた場所、最後の言葉は清々しくも重い。2021/04/17

星落秋風五丈原

34
現在でこそ写真のように美しい外観で、ジャック・シラク元首相も治療を受けた病院だ。しかし二世紀前、その場所は世間から厄介者扱いされた女性たちが押し込められ、生きて出ることは稀な場所だった。病院という名の収容所だ。世の中の汚れを人様の眼の届く所に出してはいけないとする、大方の利益を優先した結果だ。床には鼠、女性患者でもためらいなく裸にされ、時には見世物のように公開実験の被験者にされる。身寄りがない、或いはあっても関係を断っている場合が多いため、どんな扱いを受けても訴えていく先がない。2021/07/05

愛玉子

31
十九世紀末フランス。霊が見えることを告白したせいで精神病院に入れられた少女。そこは秩序を乱すあらゆる女の「捨て場所」だった。彼女たちを隔離して見えなくしておきながら、年に一度の舞踏会には好奇心ではち切れそうなブルジョワたちがこぞって見学に来る、その行為の方がよほど狂気じみて気味が悪い。「ふつう」とは何か、「自分らしさ」「本当の自由」とは。約百年後の今もまだ解決したとは言い難い。短めで読みやすいが、もっと踏み込んでも良かったと思う。「物事も、自分自身についても何でも疑ってみることが必要」という言葉が響いた。2021/07/01

かもめ通信

26
ページをめくる毎になにが「狂気」で、どこが「境界線」なのかがどんどんわからなくなっていく。もう少しつきつめて考えたいと思っているうちに、終わってしまう短さがちょっとものたりない気がしないでも。原題は“Le bal des folles”。2019年に発表されたフランスの作家ヴィクトリア・マスのデビュー長篇作で、すでに映像化も決定しているのだそう。おどろいたのは、この作品が「高校生が選ぶルノードー賞」を受賞していること。フランスの高校生、いろんな意味ですごい。2021/05/12

松本直哉

25
フーコーの狂気の歴史にも出てきたパリの精神病院を舞台に、しかしフーコーとは違う切り口で。正気(理性)と狂気(非理性)の境目を判断する(しかも恣意的に。ルルドでマリアを見るのは正気、亡き祖父の霊を見るのは狂気)のはいつも男性で、品定めされ管理されるのは女性である。その矛盾は、患者を管理すると同時に男性医師から管理される存在でもある婦長ジュヌヴィエーヴに端的にあらわれ、物語の最後で彼女は驚くべき決断をして垣根を乗り越える、その幕切れの鮮やかさ。父権制の威圧を象徴するようなシャルコーの公開講義に身の毛がよだつ。2022/02/28

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