ちくま新書<br> 中国語は楽しい ――華語から世界を眺める

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ちくま新書
中国語は楽しい ――華語から世界を眺める

  • 著者名:新井一二三【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2021/04発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480073891

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内容説明

中国語の世界は広く、面白い。その話者は、中国のみならず、台湾、香港、東南アジア、北米……世界各地に分布し、十億人を超える。それだけの人が話せるのだから、じつは中国語はマスターしやすい。そして学ぶのが楽しい、魅力がたっぷりの言語である。中国語で書く作家として活躍する著者が、文法や発音など基礎はもちろん、華語として世界に広がるこの言語と文化の魅力を存分に描き出す。

目次

はじめに
第一章 十億人も話せる理由──合理的な文法構造
漢字は「活用」しない
眼からウロコのシンプルさ
良馬と中国語は振り返らない
英文法と中国語
連動文は続くよどこまでも
中国語の掟──物事は起きる順番に話す
過去形がなくても歴史は語れる、未来形がなくても夢は語れる
中国語は数式だ
形容詞の場合
何でも主語になれる
品詞は変幻自在
「的」は名詞の接着剤
第二章 話すと楽しくなる理由──歌う発音の楽しみ
お喋りな言語
声調で歌う
標準中国語の四声
たくさんの母音たち
鼻音の区別はお寺の鐘に訊け
破裂する有気音
ヘレン・ケラーとグラハム・ベル
ベルの弟子──伊澤修二と中国語
視話法で学ぶ発音
反り舌音問題について
中国語で九九の練習
ピンインは楽譜だ
第三章 中国語で「中国語」は何と呼ぶ?──始皇帝と毛沢東をつなぐ中国語史
中国語に「中国語」はない
漢語=漢民族の言語
中華と夷狄
百越と現代方言
多民族国家の歴史
満洲旗人が伝えた都ことば
「普通話」=あまねく通じる言語
中国版標準語
「普通話」vs方言
士大夫による文字の独占
科挙と「官話」
マンダリンとイエズス会
「官話方言」
第四章 華語とは何か?──中国を飛び出した中国語
国連の公用語
「漢語」か「中文」か
「国語」から「華語」へ
華人の世界
中国人から華人へ
「華語」と華人
北米華人の場合
マレーシア華人の場合
シンガポールの二言語主義
「華文学習推進活動」の実情
第五章 漢字の愛と哀しみ──字体と言語改革の歴史秘話
パターンで読み解く簡体字
簡体字と繁体字はフォントの違い
漢字との格闘
漢字の発明者──四つ目の怪人倉頡
音韻研究の歴史
寺子屋の学費に二種類あったわけ
国語の制定と言文一致運動
ナショナリズムと文字改革
横書き、英語式句読点の中国語
中国語ローマ字化計画の名残り
上海から香港へ──移動する人と文化
香港から台湾に運ばれた「国語」
第六章 台湾、変貌する言語──「台湾華語」と南洋
「台湾華語」の登場
「普通話」との違い
「国語」と台湾「華語」
母語教育の開始
台湾語と書きことば
「中文」と「華文」
「サイノフォン」とは誰のことか
「華語」か「華文」か
「馬華文学」と台湾
台湾と南洋
鄭和のもやし
第七章 香港の言語革命──民主化運動と広東語
東洋の真珠
植民地の海抜と家賃
混血言語都市
「半唐番」と「三及第」
民主化運動と広東語
スマホと「粤語白話文」の普及
暗号としての言語
映画『十年』と母語への思い
香港と台湾の違い
愛と言語とナショナリズム
第八章 中国語の宇宙観──方位と呼称の秘密
言語は道具じゃない
鸚鵡返しの法則
イエス・ノーは中国語で何と言うか
「〓〓〓」と「〓不起」
北と南
豆と八の力
リアルな中国式挨拶
お爺さんに会ったら何と言う?
「同志」から「美女」へ
「愛人」から「老婆」へ
あだ名で呼ばれる政治家たち
「 好」の再発見
あとがき
参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

榊原 香織

63
面白かった 楽しく中国語世界を紹介してくれている。 食べ物、映画、現代の台湾作家、輝いてた頃の香港、文法の説明も目からうろこだった。 推薦本2023/08/24

makio37

13
序盤の文法や発音に関する内容は、自分の中国語学習熱を再燃させた。そして、中盤以降の中国語史や周辺各国に関する内容はさらに楽しい。マレーシアでは積極的格差是正政策により、「華語」「華文」の教育を行う中高一貫校を卒業しても国立大学に進めない。シンガポールでは「二言語主義」を国策とするも、英語の下に置かれる「華文」を若者たちは見下す。台湾語には規範化された書き言葉がなく共通語化が難しい。香港の若者たちはITの進化に助けられ、民主化運動の中で自分たちの広東語の書き言葉を獲得した―。著者の中国語愛が伝わる一冊。2024/08/17

gecko

11
華語圏で連載をもつ中文コラムニストによる、中国語の世界への招待。中国語という言語を軸に、中国史や、台湾・香港の近現代史、東南アジアや北米における「華語」文化の広がりを眺めることができ、大変新鮮で勉強になった。文法・発音の章は、中国語の親しみやすさをアピールするためかざっくりしすぎていると感じたが、著者が主眼とする「時間と空間の中で、中国語に関する視野を広げることに重点を置いた」という第三章以降がとてもよい。生活や食文化、文学の話もあり、読み物として面白かった。やはり北京では「对对对对对」と言うのだな。2021/08/27

bapaksejahtera

11
単なる中国語こぼれ話かと気軽に手にとったが、中国人華人の言語及び近代言語史にまで踏み込んだかなり包括的な理解を促す一級上の本だった。著者は中国各地や香港台湾及び世界の華人地域での生活経験が深く、他書にないに言語、文学、文化の幅広い知識を与える書籍となっている。冒頭中国語の基本的な構造の説明があった後、中国人華人と呼ばれる何十億人の言語生活とその歴史をこの小冊子で述べる。但し20世紀になって使用されだした「中国」という用語に聊かの拘りもないところや北京語の膠着語的変容について述べないのには不満がやや残った。2021/09/04

みこと

10
初めの一文ではっとさせられた。中国語は世界各地に分布している10億もの人が話している言葉であるから、実はマスターしやすく文法もシンプル。広い広い中国内では方言も数多く、私達からすると同じように見える北京の言葉と香港などで話されている広東の言葉とでさえ通じないという。共通語が策定されるまでの道のりやその背景、昨今の台湾や香港と本国との軋轢やアイディンティを守るための闘いも綴られていて読み応えあった。一番驚いたのは満州の言葉が漢字ではなくてなんかアラビア語を縦書きにしたみたいな文字だったこと。2024/04/27

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