内容説明
首相交代は「禅譲」、コロナ禍の判断は専門家に頼り切り、日本学術会議の会員任命拒否の説明は支離滅裂……。大丈夫か、この国は。これじゃまるで、〝未開国〟。それもそのはず。なぜなら、戦後、ニッポンの民主主義は、世界の潮流をよそに独自の生態系に「進化」してきたのだから……。なぜ、検察を正義と誤認するのか。なぜ、「右」から「左」まで天皇制を自明のものとするるのか。世界も驚く日本型民主主義の実態を徹底分析。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
岡本
109
定番の二人の対談本。チャーチルの有名な発言の通り、民主主義は一歩間違えると全体主義や独裁体制に繋がりかねない危うい体制。国民など団体の構成者一人一人が議題に対して真剣に向き合わないと熱気のある発言者に流される等。現代日本や世界での問題点を中心に対談が進む。何章かは書籍や教科書の引用が多く、対談のみで構成されている訳では無い点に注意。2021/05/14
Isamash
32
池上彰と佐藤優の2021年発行対談書。教科書的な民主主義の歴史更に日本における歩みがまとめられてる。自分的には日本の民主主義は未熟で天皇制がその原因と思っていたが権力とは別に権威があるというのもGoodかもしれないと思ってきてる。ポピュリズムの民主主義との近似性が話され、佐藤は、ポピュリズムは過半数とったことで、異論者も総取りして問題ないという発想と言っており成る程。だとすると、政治権力でアレやコレも該当するということ。民主主義で3類型があり、それは家族形態に関係しているとの仏トッド氏の考えは分かりやすい2025/05/07
ま
28
日本の民主主義はすっかり煮詰まって一周回って全体主義になびいていってる感があるが…未完ということはまだまだ成熟の余地があるということでもあるはず。ちとずれた感想になるかもしれないが民主主義と教育の関係の難しさを思った。宗教中立的であるべきことはもちろんだが、特定の思想に染めずに、かつ(民主主義の前提となる)質の高い教育を提供するのって結構至難の業のような気がする。2021/11/16
kei-zu
25
おなじみ、池田彰氏と佐藤優氏の対談集で今回取り上げられるのは、我が国の「民主主義」。このお二人の対談らしく、近年の国際事情の動向に触れた話題が挟みこまれている。 この時期に改めて「民主主義」が取り上げられるのは「民主主義とは何か」(講談社現在新書)のベストセラー化だけでなく、近年の政治動向をも踏まえたものか。なお、本書には前掲書からの引用もある。 コロナ禍への対応から、各国の民主主義の在り方が大きく揺るがされている。「民主主義」が「衆愚政治」にならないよう、一人一人の自覚と実践が必要と改めて思う。2021/04/17
ta_chanko
20
民主主義は最悪の政治形態である。ただし、これまでに試みられたあらゆる政治形態を除けば。(チャーチル)戦後、GHQ(民政局)による指導のもとでアメリカ型民主主義が日本に導入され、それが金科玉条のように考えられてきた。しかし広義にとらえれば、民主主義にはナチス型やソ連型のような独裁政治も含まれるし、天皇制のもとでの日本型民主主義も存在する。現在、世界的に問題となっているのはポピュリズムが蔓延し、民主主義が危機に陥っていること。コロナ・パンデミックも混乱に拍車をかけ、全体主義監視国家も生まれつつある。2021/08/20