内容説明
地域衰退が深刻化しているなかで，自治体と住民，企業が知恵を出し合い，自然環境や伝統文化を大切にした個性的なまちづくりに挑戦する地域が現れている．過疎や財政破綻，あるいは公害や環境破壊など「負の要素」を抱えた八つの地域における再生の取り組み．［カラー写真16頁］
目次
はじめに┴第１章 鳥取県鳥取市 祭りと劇の似合う街 非日常というインフラ┴第２章 埼玉県神川町 農業と観光の融合 有名観光地と棲み分けるしたたかな二番手戦略┴第３章 愛知県名古屋市熱田区 都会にビオトープの秘境を 土壌汚染浄化の苦労┴第４章 石川県能登町 能登半島の挑戦 修学旅行で”村の共栄”を┴第５章 北海道夕張市 炭鉱の記憶 破綻からの再生をめざして┴第６章 三重県四日市市 コンビナート・クルージング 工場から公害の歴史を伝える┴第７章 沖縄県恩納村 サンゴ礁をめぐる葛藤 漁協職員の取り組み┴第８章
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
10
読んでいたようで読んでいなかったもの。町村が少ないのが玉に瑕。東京的価値観に浸った著者（4頁）が、地域の非当事者として語られるものゆえ、客観的な調査になっていると思う。わたくしは田舎に住みながらだから相対的な視点は持ちにくく、当事者としての物言いになる傾向はあるので、同じ地域再生論でも色彩は異なると感じる。能登町の修学旅行への期待（29頁～）は注目できる。4泊5日とは通常よりもやや滞在期間が長い（35頁上段）。2014/02/07
かばお
7
この本が出されたのは2012年、それから約5年たった。取り上げられた地域はどうなっているのか。新たに始めた、路線を変えた、断念した取組みなど現状を知りたくなった。特に熊本と三重と愛知には行ってみて、その様子自分の目で見てみたい。2017/09/10
punk1978
3
最近気になる地域再生の話。本書のタイトルはずばり地域再生で、ニッポンの地方が取り組む様々な町おこしの事例を紹介している。文字通り「紹介している」レベルで、著者自身の見解を含めもっと掘り下げて欲しい事例が多いのだが、本の値段、というかこの薄い教科書みたいな体裁じゃ情報量が足りないのは当たり前といえば当たり前。だけど、繰り返しにはなるがそれぞれのネタはなかなか面白いので、今後はもう少し詳しい内容を載せた本を出して欲しいと思う次第。ま、読む方の我々もこれらをヒントに考えることはできると思うけども。2013/12/27
ARIA
3
本書は各地域の実例を取り上げてその概略が記されている。本当に薄い本で内容も少々手抜き感が否めないが（尺の都合もあるのだろう）、手っ取り早く今の（過疎）地域が抱える問題を知ることができる。なんとか盛り上げたいという思いがあってもお金がない、そして災害・公害のあった地域では「もうそのことを思い出したくない」といった大きな障害を抱えていることを知った。しかしながらこのような苦境にあっても足掻き続ける人々も存在する。読みやすくかつ地域諸問題についてうまくまとめられているため少しでもこの手の話題に興味のあるという人2013/03/02
feodor
2
付け焼刃本。でも面白かった。地域再生は現代のテーマだと思うが、自分たちの住んでいる地域を見つめ直して、開き直った(?)メリットを見つけ出すことが地域再生につながっていくのだということを感じた。鳥取市の旧鹿野町地区、神川町、名古屋市熱田区、能登町、夕張市、四日市市、恩納村、水俣市、気仙沼市。公害の記憶を保ちつつ、プラスに転じていこうというのも良かった。修学旅行というのも、収入安定という点ではかなり目をつけるのだな、というのも。勉強になった。2014/11/11
