内容説明
「動物たちは,その動物本来の行動をとれる幸福な状態でなければならない」――欧米で畜産動物にも取り入れられているアニマルウェルフェアの考え方とその取組みを紹介,日本の畜産の現状を報告し,東京五輪を迎える日本でも対応が急務であることを説く.
目次
はじめに┴第1章 鶏 採卵鶏とブロイラーの受難┴第2章 豚 効率的生産の背後にあるもの┴第3章 牛 自然から大きくかけ離れた状態に置かれて┴第4章 輸送と屠畜におけるアニマルウェルフェア対応┴第5章 世界のアニマルウェルフェアの取り組み┴第6章 日本の畜産動物が本来の動物らしい生き方をするために┴コラム 新技術が突きつける倫理の問題┴おわりに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tokkun1002
15
☝️企業の社会的責任として読む。アニマルウェルフェア/動物たちは生まれてから死ぬまで、その動物本来の行動をとることができ、幸福な状態でなければならない…先進国では畜産において取り入れられつつある考えだが、我が国ではほぼできていない。常に後から後から他国の様子を見て動くのが伝統だけれど、これもまた然り。2019/02/26
友蔵
13
命を頂くという事を、もう一度真剣に考えないといけないのだな。脳無しチキンの発想にはゾッとした。2022/03/15
マイケル
7
本書を読むと、日本の畜産がいかにひどい状況かが分かります。生産性だけが重視された工場と同じで、動物の生き物としての生活環境は完全に犠牲にされています。日本ではこれまでほとんど問題視されてきませんでしたが、「アニマルウェルフェア(AW:動物福祉)」の問題について簡潔にまとめた本書は入門書として貴重だと思います。「疑似肉」導入も結構ですが、先ずは現状を改善すべきだと思います。全ての人が、ベジタリアンやヴィーガンになるとは思えませんので。2019/05/09
Hiroo Shimoda
5
今後、投資家の注目が集まりそうとされるアニマルウェルフェア。確かに鶏や牛の鼻環ケージが自然な姿ではない。ただ、低価格のためなら人権も抑圧されるこの日本でエシカルは普及するのだろうか。2019/02/09
motoryou
4
お恥ずかしながら、アニマルウェルフェアという考え方に始めて触れました。「動物愛護」とはちがう。 知らない、ということは考える選択肢を持たないということなんだなあ、選べないということなんだなあ、と強くて感じます。こういう現実もある、考え方もある、と知るだけで、スーパーやコンビニにある卵や肉がまた違って見てえくるから不思議です。人間にとってのそれも経済的な生産性、効率性を基準にすると自然からどんどん遠ざかりますね。そもそも「自然」は持続してきた仕組みそのものだからもっとも生産的、効率的なんだろうな。そもそも。2019/11/09