大乗非仏説をこえて

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大乗非仏説をこえて

  • 著者名:大竹晋【著】
  • 価格 ¥2,279(本体¥2,072)
  • 国書刊行会(2021/04発売)
  • ポイント 20pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784336062697

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内容説明

歴史的ブッダの死後500年ごろ(紀元前後)から出現し始めた大乗仏教は、その始まりから「大乗非仏説論」(大乗は仏説に非ずという論)に晒され、大乗仏教徒は、大乗非仏説論を厳しいトレーナー(教官)として、大乗仏教の存在意義を懸命に探し求めてきた。しかし、内外に問題をかかえたまま、新来の上座部仏教(テーラワーダ仏教)の正統性に追従する近年の日本の大乗仏教諸宗においては、大乗仏教の存在意義はもはや完全に見失われつつある。
 そのような状況にあって、本書は、大乗仏教に共感や関心を持つもののために、あらためて大乗非仏説論に真摯に向き合いつつ、大乗仏教の存在意義を明快に説きあかす。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

yutaro13

19
上座部仏教の思想と実践に惹かれる今日この頃、逆に日本で主流である大乗仏教の意義を知るべく手に取った本。著者によれば、大乗仏教は歴史的ブッダの仏説であることを論証できない。大乗仏教の本質は歴史的ブッダへの回帰ではなく仏伝的ブッダへの模倣(まねび)であり、他者を救うためなら歴史的ブッダの教えに反することも敢えてやる、利他ゆえの仏教否定にそのアイデンティティがある。よって、大乗仏教は独立した宗教なのだ。歴史的ブッダという権威に同調する姿勢を捨て、利他という高貴な人間性を磨き続けよとの主張には傾聴の価値があろう。2019/06/28

月をみるもの

13
ひょっとして日本の仏教ってゴータマ・シッダールタの説いた教えってなんも関係ないんちゃう? ってずっと思ってたんだけど、大竹先生に「そのとおり!」と言ってもらえて非常にすっきりとした。一方で「利他こそが大乗仏教を大乗たらしめる本質である」と言われると、ちょっと違う気がする。自分の生すら超越した悟りを得た後で、わざわざ衆生に教えを説くなどという行為の意味は、利他でしかありえない。梵天勧請などという陳腐なエピソードでは、この大転換をまったく説明できてないので、次の本ではぜひこの謎に挑んで欲しい。2020/12/04

モリータ

10
◆著者は「仏典翻訳家」とあるが、翻訳のみならず『大乗起信論』成立問題等で業績のある仏教学研究者。1974年生。◆大乗非仏説に関する学説史から始まり、大乗仏説論が上座部仏教からすれば決して客観的に論証しえないこと、大乗の教えが歴史的ブッダへの回帰ではなく仏伝的ブッダの模倣(まねび)であること、そのうえで自内証=否定しえない大乗者の悟りを紹介し、大乗仏教の大乗仏教らしさ=仏教の否定までありうる利他の行ない(=徳を積むこと)、それを通じた現世における人としての完成こそが大乗仏教の存在意義と主張する。2018/09/05

非実在の構想

4
大乗仏教を原始仏教のなかに認めて仏説とするのではなく、歴史的仏陀とは関係のない非仏説と認めたうえで、修行者の自内証により神話的仏陀の仏説とし、破戒ひいては仏教否定も辞せずに利他を行うことを大乗の独自性として考える。先人たちの大乗を仏説とする理路があまり腑に落ちてなかったので、大乗を原始仏教、小乗から独立させる筆者の主張は小気味良い。2019/06/30

hexia

2
大乗非仏説とは、「大乗経は釈尊が直接説いた経典ではなく、よって仏教ではない」という説である。「…よって誤謬である」と主張する過激な論者もいるようだ▼本書では「大乗教は、歴史的ブッダの唱えた宗教とは別物である。大乗教は、仏教が仏教を超えていくためにある」と主張している。前提の条件に一部違和感があるが、納得できる結論ではある▼個人的に興味深いのは「大乗仏教は権威主義を捨てるべきである」という部分。「偉い人が言ったから正しいのだ」という思考停止の発言は、私も反省すべき点がある。この反省を踏まえ、思索を深めたい2018/11/29

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