内容説明
姫子が恋したのは破滅へと疾走する美しい男の子・翼。
アーバン・リサーチの探偵・佐竹が翼を追う。
浮上する連続猟奇殺人事件。耳を削がれた死体は何を物語るのか。
残酷な恋とインモラルな性を清冽に描く。
大薮春彦賞受賞作家が放つ衝撃作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
那由多
20
若いから歪むのか、若いから歪みをなかった事にできないのか。有名人の息子たちの放埓は醜いだけなのに、翼と姫子とむぎぶえには痛々しい美しさを感じずにはいられない。帆木とウネ子のように、封じ込めて思う存分愛し合えばいいと言えるほど大らかでもないけれど、狂気的な逸脱は起きなかったかもと悲しくなる。受け入れられないはずが、圧倒されて危険な純粋さを受け入れてしまうのは打海文三ならでは。2019/05/24
piro
13
私にとって3作目のアーバンリサーチシリーズ。『されど修羅ゆく君は』で13歳だった姫子は19歳になり、危うさを残しながらも逞しく成長。そして前作とは比べ物にならない様な修羅場を体験する事になります。倒錯した狂気に満ちたストーリーは、時に目を背けたくなる様な場面も多く、正直言って読むのがしんどかったものの、二人の逃亡者がそれぞれ牽制し合う様に凄惨な犯行を繰り返す緊迫感は、今までに味わった事が無いものでした。アーバンリサーチの面々の姫子に対する、それこそ姫に接する様な愛情が一筋の光の様にも感じられた一編です。2017/11/21
Katsuto Yoshinaga
8
この作家は、もっと評価されてもいい、もっと注目されてもいい、という念がさらに強まった。アーバンリサーチシリーズの一作である本作は、富裕層の少年たちの犯罪に材が取られ、打海作品の毎度のことで、氏の少年少女と熟女への愛情に満ち溢れている。そして、これまた毎度のことながら、「こんな利発で大人びたガキがいるわけないだろ」と毒づきたくなりながら読まされてしまっている。結構ドギツイ描写も多いのだが、カッコいい文体・文章も相変わらずで、内容ほどにはエグさが後を引かない。これまた良作。アーバンシリーズの復刊を望む。2017/04/16
超雨
5
これは本当に恋の話。歪んでる。短いメールでのやりとりが素敵に核心をついていて、好きでした。2018/07/29
まんじゅうこわい
1
死にたくなくない?2018/05/23