講談社文庫<br> バルス

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講談社文庫
バルス

  • 著者名:楡周平【著】
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 講談社(2021/04発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065230626

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内容説明

トップレベルの私立大学に通う百瀬陽二の就職戦線は冴えなかった。名の知れた大企業への就職に囚われていた陽二は、再チェレンジする為に就職留年を決める。留年のあいだ派遣会社を通じて世界最大のネット通販会社《スロット》の物流センターでアルバイトをすることに。そこで見たのは、派遣労働の過酷な職場環境、さらに膨大な商品の運送業務に忙殺される大手総合物流企業の厳しい現場だった。
東京から各地方に向かう東北・東名・中央・常磐など主要高速道路で、ほぼ同時に宅配便を配送するトラックが走行中に荷台から出火し交通麻痺となる。格差社会への不満を抱えた集団「バルス」により犯行声明がマスコミに届き、次なる犯行予告が伝えられた。宅配会社は荷物の受け付けを中止、それに伴いネット通販会社の出荷も停止、あらゆる産業で事業が滞りはじめた。追い打ちをかけるように、バルスは予想を超えた要求をつきつけてきた!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kei302

49
昨年亡くなられた今野浩先生は、著書の中で「(某電子小売り)A・・は絶対に利用しない」と断言されていた。送料無料当り前を疑えですね。非正規派遣リストラ格差社会、ステレオタイプな切り取り方が乱暴で、扱っている範囲が狭すぎますが、言いたいことはわかります。私は性善説を信じたい。コープ宅配もあるし、訪問介護で買い物代行もしてもらえる。ネガティブに考えるの、よくないね。2023/05/30

PEN-F

35
ジブリ映画“天空の城ラピュタ”でお馴染みのあのセリフがタイトル。ラピュタではバルスは破壊や滅びを意味する呪文だが、なるほど、今作では非正規雇用が労働人口の4割を占めるまでになってしまった今の社会を破壊し、そして再生への道を歩もうとするまでが描かれていた社会派小説。“送料無料”の言葉についつい魅力を感じてしまうが、そもそもタダで物が送れることなんてありえない。必ずどこかが負担を負っている。それが派遣社員だったり下請け企業だったり。“送料無料”の呪文の魅力と恐ろしさ。2024/10/26

mayu

26
初読み作家さん。有名大学に通う陽一は大企業ばかりを就活先に選び、就職浪人。大手通販会社の物流センターで派遣社員として働いている。ノルマが達成できなければクビ、代わりはいくらでもいる。しっかり務めていても期間を越えて働く事はできない。派遣先で受けた待遇から、非正規社員の現状や闇を知る。そんな中バルスによって、通販には欠かせない物流を脅かすテロが起きる。 低価格で次の日には商品が届く現代。裏ではどういう事が起こっているのか、格差社会とやり直しがきかない社会、非正規社員の今と未来をとても考えさせられる一冊。2023/05/12

クキモン

16
消費者が安い商品を望む故のコストカットだと経営者は言うけれど、物を買うのは労働者。お金に余裕がないから安売りに走る。この悪循環を何とかしなければ日本の将来は恐ろしいことになると実感させられた社会派小説。2023/01/08

lily

14
「非正規労働者の需要を高めてんのは誰でもない、消費者なんだ」ネット通販会社のスロット(明らかア〇ゾンのことやん)の宅配センターで相次ぐ爆破テロ。犯人は『天空の城ラピュタ』の滅びの呪文バルスを名乗り、非正規労働者の待遇改善を主張していく。犯人は容易に想像できる人物でミステリー要素はほぼないが、配送料無料の裏に潜む宅配業の厳しい労働実態を描く経済小説としては一級品。ただバルスの行動が社会を変えるかは疑問符が付く。コンシューマーリテラシーというか、私たちが賢い消費をすることが大事である。これが難しいのだけれど…2024/11/26

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