内容説明
人気シリーズ「乙女の本棚」第19弾は横光利一×イラストレーター・いとうあつきのコラボレーション!
小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。
もうあたし、これでいつ死んだっていいわ。
海のそばにある家。そこで彼は、日に日に弱っていく妻を一人看病し続けていた。
横光利一の『春は馬車に乗って』が、『26文字のラブレター』などで知られる人気イラストレーター・いとうあつきによって描かれる。
名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。
自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。
*この電子書籍は固定レイアウト方式で作成されています。文字の拡大・縮小や、検索、ハイライトなどの機能は利用できません。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
81
病に臥せる妻と献身的に看病する彼。妻の円く張った滑らかな身体は、竹のように痩せてきた。そして常に彼に文句と皮肉を欠かさない。妻のため看病すればするほど仕事もできず生活は苦しくなる。そんな難局に浮かんだイメージは、あてもなく青い羅紗の上を撞かれた球が飄々として転がっていく様であった。早春に知人からスイートピーの花束が届けられた。妻はその花束を抱きしめて恍惚として目を閉じた。妻と彼との間に交わされる会話に季節の描写がアクセントになる。いとうあつきの淡い色合いのイラストが物語を引き立てます。1926年初出。2021/05/23
美紀ちゃん
75
イラストが綺麗。 文章がキレイだからなのか。 美しい死の話。 肺の病気で寝ている妻を看病する夫とのやりとり。 妻は辛そうで、わがままを言うが、それを必死で受け止めようとする夫の献身。 病状が悪化してゆき、夫も辛い。 ダメになりそう。 冬を越せて良かった。 素敵な花咲く春まで生きていられて 良かった。花束を抱いて目を閉じたところが美しかった。2021/07/01
ちえ
48
多分ショックや悲しみを感じる余裕もない看病。夫婦間の諍い、宥め、諦め…。今まで読んだ『乙女の本棚』シリーズの中でも心に残る一冊。これは絵が素晴らしかった。特に赤を使った絵が印象的。読み終えて本を閉じ、表紙に目をやり初めて絵の意味に気がつく。考えながら見ると、どの絵もどこが残酷なのかもしれない。2021/10/31
優希
41
病が軸にありながらも、綺麗なイラストが暗さを軽減しているような気がします。2023/11/10
gtn
39
肺病の妻と看護する夫。病ゆえに一時も離れるなと切望する妻。お前の敵は俺の仕事。だが、お前の敵は絶えずお前を助けていると逃げ口上を使う夫。二人は、この葛藤がいずれ終焉することが分かっている。つまり、このやり取りも最期の愉しみだということを二人は悟っている。2023/03/14
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