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内容説明
2020年、夜の世界はかつてない危機に直面した。新型コロナの感染拡大により性風俗店への客足が途絶え、働く女性たちは瞬く間に収入と居場所を失った。窮状を誰にも話せず、公的支援からも排除されたまま、孤立と貧困に苦しむ彼女たちを助けるために、これまで声を上げなかった人たちが声を上げ、動いた。コロナ禍を生き延びるため、夜の世界と昼の世界との間に橋を架けるための苦闘に内側から迫ったドキュメント。
目次
はじめに
スマホに残る激戦の跡
全ての人が「当事者」になった世界
「これまで誰も見たことのない景色」から見えてきたもの
第一章 LINEの通知が鳴りやまない──風テラスの百日戦争・前半戦
「風」の止まった日
出口の見えない迷宮に迷い込む
初日から野戦病院状態に突入
緊急事態宣言下、さらに相談が殺到
月収が八十万円からゼロ円へ
複合化した不安の中で、身動きが取れなくなる
ツイッターのフォロワーが一気に千人以上増加
必要なのは「安心して泣くことのできる場所」
申請に立ちはだかる「不安の壁」
自分が誰なのか、どこにいるのかを証明できない
法テラスが止まった!
号泣する相談者に、生活保護をひたすら勧める毎日
人員面・資金面で限界が近づく
#すべての親子を置き去りにしない
第二章 崖っぷちの性風俗──風テラスの百日戦争・後半戦
精神疾患を抱えながら働く女性の不安に寄り添う
「安心してひきこもれる生活」が、コロナによって崩壊
エッセンシャルワーカーとしての彼女たち
強すぎる自責の念がもたらす不幸
「個人で稼ぐ」「ルール違反をして稼ぐ」ことの落とし穴
「固定費」が常時ストップ高の生活
相談者からのお礼の言葉が励みに
「いわゆる普通の人に戻りたい」
五月の大型連休中、七時間連続のオンライン相談会を実施
持続化給付金詐欺に巻き込まれる「無自覚なギグワーカー」たち
「最後に頼れるのは公助しかない」という現実
第三章 立ちはだかる「性風俗の壁」
「濃厚接触」最前線
署名キャンペーンを立ち上げる
瞬く間に方針転換
必要なのは、「無関心層を動かすこと」と「タイミング」
成功の陰に潜む「怒りのキメラ」
岡村隆史「コロナと風俗」発言で大炎上
署名キャンペーン・第二弾を始める
みんなの信じたい情報だけが拡散される
「不都合な真実」をどう伝えるか
打ち手が無くなり、行き詰まる
集団訴訟という選択肢
「勝てるかどうかは分からない」訴訟?
弁護士チーム会議、始動
オンライン説明会
事業者との質疑応答
原告希望者が名乗り出る。しかし……
ソーシャルアクションの不可避性と不可能性
訴訟「だけ」では社会は変わらない
第四章 歌舞伎町に立つ
緊急事態宣言下でも、路上に立ち続ける女性たち
彼女たちが路上に立ち続ける理由
有縁と無縁
ネットを見て集まる男性、そして摘発に動きだす警察
公助とつながるための前提をつくる
「今までに会ったことのない大人に会った」と思ってもらいたい
草の根でつながり、ハブになってつなげる
新しい「信頼」をデザインするために
第五章 夜の世界を孤立させるな
始まりはズーム慰労会
「夜の世界で孤立している女性・1万人に支援を届けるプロジェクト」始動!
二日間で七十七万円!
『〝夜の街〟に生きる 2020 ある風俗嬢の記憶』との出会い
広告規制との仁義なき戦い
男性客に「一肌脱いでもらう」ために
長い長い停滞期、心が折れそうになる
トリプルコンボが決まり、停滞期から脱する
終盤戦のドラマ
ついに、その瞬間が来た!
応援コメントで胸がいっぱいに
クラウド(群衆)の力を集めて、壁を突破せよ!
終章 誰もが性風俗の当事者に
「早く行きたければ一人で行け。遠くに行きたければみんなで行け」
本人に解決する力を身につけてもらうために
「とにかく出勤すれば何とかなる」という呪縛
「公助につなぎ直すための共助」を作る
公助の限界の中で
「正解」を即答できないもどかしさ
どんな人も、夜の世界に無関心ではいられるが、無関係ではいられない
あとがき
謝辞
寄付のお願い
付録 風テラス白書(二〇二〇年・一年間の相談データ)
感想・レビュー
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