内容説明
一件落着――そう思ってからが本番です。
ニューヨークまで逃げ場なし。豪華客船に渦巻く謎また謎。
amazon(ドイツ)でレビュー数1,400超、評価平均4.2。
ドイツ・ミステリーの最終兵器セバスチャン・フィツェックの代表作登場。
事件解決のためなら手段を選ばぬ囮捜査官マルティンのもとに、5年前に豪華客船「海のサルタン号」船上から忽然と姿を消した
妻子にまつわる秘密を明かすという連絡が届いた。相手がマルティンを呼びだしたのは、因縁の客船。そこでは2か月前に
船から姿を消した少女が忽然として出現。さらなる事件が次々に起きていた。
ニューヨークへ向かう客船の中で走り出す複数のプロット――。船の奥底に監禁された女と、彼女を詰問する謎の人物。
娘の忌まわしい秘密を知って恐慌を来たす女性客。何者かとともに不穏な計画を進める娘。船室のメイドを拷問する船員と、
それを目撃した泥棒。船の売却を進める船主と、船の買い手である中米の男も乗船しており、マルティンを呼びだした富豪の老女は
「この船には恐ろしい秘密が隠されているのよ……」とささやく。
この客船の中で何が起きているのか? からみあう嘘と裏切りと策謀――真相はめくらましの向こうにある! そしてあなたが「一件落着?」と思ってから、ドイツ・ミステリー界最大のベストセラー作家が腕によりをかけて仕掛けた意外な真相のつるべ打ちが開始される!
※この電子書籍は2018年3月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ふう
87
怖い、おぞましい。そんな場面が次から次へと現れて、ホッとできる場面がありません。1つ解決して余韻を味わえると思ったら、また予想だにしていなかったつらい事実が待っています。事件も悲惨ですが、おとり捜査の実態も凄すぎて、こんな社会で生きていくのは怖すぎます。平凡に見える生活に潜む闇。事実は小説より…だとしたら、クルーズ船には乗れなくなりそうです。それも作者の力量ゆえでしょうか。2021/06/28
goro@the_booby
77
大型豪華客船で起こる行方不明事件は年間相当の数に上るという事実を基に仕立てたミステリー。妻子が船から落ちたのか自殺なのかも分からず苦悩する囮捜査官マルティンに掛かって来た電話は、手掛かりを掴んだと知らない人間からだったが、マルティンは同じ客船に乗り込んだ。短い章割りでまるでドラマのような展開で進んでいく。迷路のような客船内部に怪しい人物。人を殺める舞台としては一番でしょう。警察官が居るわけでもなく、船は急には止まれない・・・。一番悪い奴は誰だ!2022/08/04
オーウェン
67
捜査官のマルティンは5年前乗船したサルタン号から消失した妻子がいた。その妻子に秘密があると言われ、同じ船に乗ると、今度は消失した少女が現れたり、船内には殺し屋がいたりすることが分かる。 大まかな目的はあるが、それに加え同時進行のエピソードが幾つかある。とっつきにくい会話の難はあるが、真相に向かってスムーズに進んでいく。衝撃の結末といえるほどではないが、充分楽しめた。2023/02/23
NAO
57
あまりにも巨大で乗務員ですら知らない空間があり、しかも誰もそこから移動できない動く密室である豪華客船。航行中の客船から失踪し、2ヶ月後どこからともなく船内に現れ、再び消えた少女。少女が持っていた、同じ船の中で失踪した少年のテディベア。失踪した少年の父親である敏腕囮捜査官マルティン・シュヴァルツが、船の秘密を探り始める。何層にも別れ、乗務員でさえ立ち入りできないスペースを持つ大型客船。そんな船だからこそ、豪華で美しい表側とは裏腹に、とんでもなく醜悪な面を持っているのかもしれない。船だけでなく、乗客たちも。2022/09/21
タツ フカガワ
56
ベルリンのおとり捜査官マルティンもとへ、豪華クルーズ船〈海のスルタン〉号で2か月前に姿を消した母娘のうち15歳の娘が船内で発見されたという知らせが入る。5年前、同じ船でマルティンの妻と幼い息子が行方不明になっていた。急遽ニューヨークへ向かう同船に乗り込んだマルティンは、クルーズ船の闇のなかから真相に辿り着く。年間20数名がクルーズ船で行方不明になっている現実のなかて、ほとんどが自殺、事故で処理されているらしいけれど、この結末は衝撃、面白かった。2025/01/12