文春文庫<br> 彼女は頭が悪いから

個数:1
紙書籍版価格
¥979
  • 電子書籍
  • Reader

文春文庫
彼女は頭が悪いから

  • 著者名:姫野カオルコ【著】
  • 価格 ¥950(本体¥864)
  • 文藝春秋(2021/04発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167916701

ファイル: /

内容説明

2019年に上野千鶴子さんの東大入学祝辞や様々な媒体で取り上げられた話題作が文庫で登場!

私は東大生の将来をダメにした勘違い女なの? 
深夜のマンションで起こった東大生5人による強制わいせつ事件。非難されたのはなぜか被害者の女子大生だった。
現実に起こった事件に着想を得た衝撃の「非さわやか100%青春小説」! 

横浜の3人きょうだいの長女として育ち、県立高校を経て中堅の女子大学に入った美咲と、渋谷区広尾の国家公務員宿舎で育ち東大に入ったつばさ。
偶然に出会って恋に落ちた2人だったが、別の女の子へと気持ち が移ってしまったつばさは、大学のサークル「星座研究会」(いわゆるヤリサー)の飲み会に美咲を呼ぶ。
そして酒を飲ませ、仲間と一緒に美咲を辱める。美咲が部屋から逃げ110番通報したことで事件は明るみに出ることに。
しかし、事件のニュースを知った人たちが、SNSで美咲を「東大生狙いの勘違い女」扱いする。

柴田錬三郎賞選考委員絶賛!
無知な若者を生み出した社会構造と、優越、業といった人間の醜さが、本作には鮮烈に描いてある。――伊集院静
どちらか一方を悪者に仕立て、もう一方を被害者に仕立てがちだが、本作はそんな単純な構図では描かれていない。―逢坂剛
女たちの憂鬱と絶望を、優れたフィクションで明確に表した才能と心意気は称賛されるべきである。――桐野夏生
テーマ性とメッセージ性の際立つ作品、批判をおそれず書かれた力作だ。――篠田節子
平成における最も重要な本の一冊だと私は考える。――林真理子

※この電子書籍は2018年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ミカママ

570
【KU】気になっていた作品。冒頭で著者が述べている通り、焦点は性犯罪ではない。それよりももっと悪辣な、被害者の人としての尊厳を踏みにじった「東大生」たちの物語。「東大生」というのはあくまで記号である、ということ、なんならノンフィクションですらないということを、読者は理解していなければならない。犯人らの生い立ち、彼らを創った両親、そのまた両親、ひいては社会全体の価値観を描き出している。胸糞悪必至、そして「自分が被害者ならどう行動したか、犯人たちをどう批判したか」を読者に突きつける、筆者渾身の作品だ。2024/05/23

さてさて

235
『つばさは東大に合格した人間である。日本一入るのが難しい大学だ』。複雑な思いの先に事件に巻き込まれていく主人公の美咲を描いたこの作品。そこには実名で登場させるからこそ読者の心にリアルに響いてくる学歴社会の一面を見る物語が描かれていました。前半の雰囲気感が後半の物語に独特な深みを与えていくこの作品。数多く登場するツィッターのコメントにさまざまな思いが去来するこの作品。“東大生への偏見だ!vs 東大だから起きた事件だ”と煽るように書かれた本の帯の言葉を見事に著した姫野さんの鋭い切り口が光る物語だと思いました。2023/11/12

ノンケ女医長

146
だいぶ辛い読み物だった。序盤から、きっとこの作品は二度と読まないから、これを最後だと思ってきっちり読み終えようと、覚悟して臨んだ。異性間交流とは何か。優秀な血とは何か。人は何を思って恋愛し、子孫を後世に残すのか。きっと、子を産み育てる可能性のある方々は、幼少期から今作の中核を部分的とは言え学びながら成長するからきっと大丈夫なんだろうけど。私は違うので、心を深く抉られるような不快感しかなかった。親も親なら、子は子なのか。その血は、やっぱり私は欲しくない。2024/06/02

ゆいまある

114
私は日本中から金持ちの馬鹿息子が集まることで有名だった私立大医学部を卒業している。親睦を深める為に開催された飲み会で酔ってエッチなことを言ったら、その場にいた大馬鹿のスイッチが入ってしまい、身体を触られ、集団で服を脱がされそうになったことがある。挑発した私が悪い、何をされても文句は言えなかったと皆が言い、私もそのように27年間自分を責めて記憶を封印してきた。その記憶が浄化された。ありがとう姫野カオルコ。東大生わいせつ事件に着想を得た小説。社会的地位が低い者は侮辱して構わないという考えを強く批判している。2022/10/26

レモングラス

107
東京大学の男子学生5人が起こした事件をもとに書かれている。相手の気持ちを考えないどころか、人として到底ありえないし、ここまでひどいとは思わなかった。見下すという恐ろしい感情、育ってきた環境、驚愕の内容でした。東大ではない人間を馬鹿にしたい欲の怖さ、東大ではなくても、これを小さく小さくした感情が社会のあちらこちらでと思うと、社会が思った以上に病んできているのだと感じました。読友さんのレビューで知り、読みました。抑制の効いた筆致に突きつけられたもの、世の中がどんどん壊れていかないことを願うばかりです。2023/11/13

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/17599361
  • ご注意事項

最近チェックした商品