内容説明
「居場所がない」とはどのような経験か。いじめや不登校、少年事件、「普通」でいることの生きづらさをめぐる若者たちの語りを手がかりに、「居場所」の意味を探究する。明らかとなった居場所の条件をもとに、「居場所づくり」への空間デザイン、学びのあり方、関係づくりの方法論と、これからの社会展望を論じていく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆう。
39
私たちにとって居場所とはどんな存在なのだろう。そんなことを考えながら読みました。人と人の関係が競争的であり、相手を否定することで効率を上げ、生産性のある人として作り上げられようとしているなかで、自分への回復のための居場所は求められていると思います。本著で勉強になったのは相互承認という言葉。支援する側もされる側もお互いに承認し合うことによって居場所が作られていくのだと学べました。これは大人と子ども、子どもと子どもの関係性にも当てはまると思います。政策的に作られる「居場所」の批判的検討は必要だと思いました。2018/08/08
いとう
5
子どもの居場所づくりで生じる大人と子どもの関係性。 子どもの居場所作りが施策になるときに「放課後子ども教室」と学校の用語にからめとられる(245)ように、居場所によって教育や発達が促された方がよいとする大人や社会の考えが入り込む。ある学会で子どもの居場所が議論されたときには「成長を促す教育の場」「遊びを通して子どもの生きる力を育む場」と、成長、促す、教育、育むなどの大人の関与を良しとする単語がでてきたそうだ(246)。青木省三は大人が作る子どもの居場所は→2023/12/14
れどれ
3
空間としての場所性に加え、まなざされる私として他者の存在を見据えた上での居場所を探る。おおよそ子供や若者の"居場所のなさ"についての研究なのだが、ところどころ現象学に触れるなど観念的な話もあり、なるほどあの問題点もこの論題もこうした記述で整理できるのかとすっきりした。場とか帰属、居どころ、拠点、境、郷、陣、園、圏について興味関心がある身には価値ある内容だった。2021/03/15
nshunya819
0
【中途読了】児童分野の現場向け文書。文言がちょっと難しいけど解釈するとなるほどと思うところ多々あるので、購入してゆっくりと読み直したい。2021/12/31