内容説明
社会現象を起こした天才・伊藤計劃の「死」へ、
最も早く、最も鋭敏に応答した批評を発表し、
第5回日本SF評論賞優秀賞を受賞した岡和田晃。
その受賞から2013年までの間に発表された批評を
「伊藤計劃、SF、世界文学」の3つの柱でまとめた、
80年代生まれ、博覧強記を地で行く若き論客の初の批評集!!
SFと文学の枠を取り払い、
ミステリやゲームの視点を自在に用いながら、
大胆にして緻密にテクストを掘り下げる。
愉楽に満ちた輻輳(ふくそう)する言葉が、
あなたの知性に挑戦する!!
ぎっしり濃密な2段組320頁が待望の電子化!
*《日本図書館協会 選定図書》に選ばれました。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
カザリ
39
リーダビリティって本当に大事だと思う。なんか、バカって連呼されている気になるでしょう。一冊まるごとわからないって。。ま、事実なんだけど(*´▽`*)2016/01/03
里愛乍
35
〝批評という方法を通じて「わずかな希望」を探ること〟をコンセプトに書かれた本書からは、伊藤計劃氏とその作品に対する愛を随所に感じられ、またここに取り上げられたSF小説の書評としても存分に楽しめました。とりわけサイバーパンクについての所論は面白く、またSFをスペキュレイティブ・フィクションと読み替えるという可能性については非常に興味深く、読みたい本が一気に増えてしまいました。もっと早くにSFというジャンルに関心を持っていれば、と10~20代の自分が悔やまれてなりません。2015/07/05
梟をめぐる読書
15
いずれ読後に「失語」の感覚に囚われるような、不穏な力を備えた評論が揃っている。何に対しての「失語」か。<暴力>を自らの内に組み込み始めた「システム」の変化にあまりにも無自覚に毎日を生き、その最大の糾弾者の役割を果たしてきたはずのSFという分野を等閑視し、娯楽産業として消費し続けてきた己自身の愚鈍さに対して、だ。しかし作者はその分析の先に「わずかな希望」を差し出すことで、歌い出せ、いま、この場所からまた歩き出せと読者に再起を促しもする。一〇年代以降の批評家としては大澤信亮、山城むつみに並ぶ個人的注目株。2014/06/20
Akito Yoshiue
13
刺激的な論考が数多く収録されていてありがたい。読むのにエネルギーがいるが、それは各論考に込められた熱量ゆえか。個人的には「新しい太陽の書」についての論考が一番興味深かった。2021/10/20
空箱零士
7
伊藤計劃を出発点に日本の近現代SFや文学、世界各国の作品を横断的に紹介し批評を行う。作品・論旨ともに多岐に渡るが、概ねカール・シュミットの「例外状態」が恒常化した「例外社会」(笠井潔)と化した新自由主義社会において、その社会の空虚さ(人の命もシステムに組み込まれる社会)に立ち向かい得るかの考察に貫かれてるといっていいだろう。「物語」に回収されることなく、相容れない存在を作る「リベラル・アイロニスト」に陥ることなく物語を語り得るか。ゼロ年代の宿痾への包囲網の一端を伊藤計劃、ひいてはSF的想像力は確実に担う。2014/03/06




