集英社文庫<br> 室町もののけ草紙

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集英社文庫
室町もののけ草紙

  • 著者名:岩井三四二【著】
  • 価格 ¥814(本体¥740)
  • 集英社(2021/04発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784087442144

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内容説明

室町後期。政治に倦んだ将軍に代わり実権を握った正室、日野富子の心を支配していた思い。京の町が戦火に包まれた応仁の大乱を引き起こした山名宗全、細川勝元それぞれの事情。困窮の中、生き残りを懸けた絵師や猿楽師の情熱。時代が大きく変貌するとき、転機を迎えた人物は何を見て何を思ったのか。心情に寄り添ってドラマチックに描かれた連作歴史小説。室町の世のリアルを体感できる一冊。

目次

三魔
翳りゆく世に
優曇華の花
美しかりし粧いの、今は
天狗流星
天魔の所業、もっての外なり
青磁茶碗 玉梅
将軍、帰陣す
天狗の如く
長い旅路の果てに

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

sin

66
権勢に群がり寄る有象無象をもののけと為し…京都では今でも先の戦といえば第二次世界大戦ではなくこの応仁の乱らしいが、その戦自体が政事という利権に命を賭けた茶番劇としか思えない。将軍以下、皆が己れの利権を追い求めており、そこには国を、いやその民を納めようとする気概が感じられない。作中登場人物がその不摂生から病を得て倒れ伏す様は如何にも目的意識を持たない迷い子のようで、そのような権力者に支配される民の苦悩する姿こそ描かれてはいないが想像に難くはない。歴史は繰り返すと云うが、ならば人は歴史から何を学ぶのだろう?2022/01/28

小太郎

23
岩井三四二さんは何冊か読んでますが印象に残ってるのが「三成の不思議なる条々」。今回舞台は応仁の乱そしてメインキャストがあの日野富子なので楽しみに読みました。10篇の連作短編集、前に出た単行本に3篇の書下ろしを加えた構成のようです。意外に知ってるようで知らない応仁の乱が分かり易く書かれていたのと富子ばかりじゃなくて色々な視線から見た室町末期がとてもリアルに感じられました。題名はもののけ草紙になってますが怪奇色は薄いように思います。 2022/03/28

ゆーり

22
応仁の乱前後、足利義なんちゃらが贅沢三昧で悪妻日野富子が政治に出しゃばって利権を貪って、、の乏しい知識で読みましたが。。日野富子が物の怪に取り憑かれて、の話かと思いきや、物の怪の取り尽くしまもない富子の気強さ。応仁の乱が始まった経緯。受領達の勢力図。こうなっていたのかと今更ながら歴史ってすごい! 戦国の世のでも長い戦いに飽く武将、ややこしい政に飽く将軍、子離れできない母と反抗期の将軍、厨二病寄りの武将もいる。そんな時代を俯瞰するのは物の怪か。学生時代好きでなかった室町時代が、目の前に生き生きと蘇りました。2021/05/05

Y.yamabuki

13
応仁の乱の前後、視点を変えての短編集。何故争いが絶えなかったのか?この時代の状況が分かって興味深かった。日野富子の話が三編、政治との関わりや息子義尚への思いが語られ、その時々の彼女の行動論理や心情が分かって面白かった。能役者や絵師の苦悩や苦労話が挟まれていが、彼らは東山文化を支えた人達で後の観世流、狩野派へと続くのかと感心する。タイトルのもののけは、御所の内外を権力を求めて歩き回る魑魅魍魎や屋敷内で恨んで亡くなった者達の霊(優曇華の花より)と言うことか。余り読んだことの無い時代で各話興味を惹いた。2021/11/05

onasu

12
室町時代後期、応仁の乱とその前後と言うか、今参局から始まる8代将軍義政の周囲の人々(義政の編はないけど)。  当然、その中心に据えられるのは日野富子だが、この混沌としたところに勝者はいない。ホントにろくでもない時代なんだけど、読む分には興味が尽きない。  中でもは、まだ名もない絵師の狩野正信、倉奉行の下役の男の話しに、細川宗家の当主政元の奇行っ振り。大乱の原因となる将軍継承のいざこざから畠山家、斯波家の内紛、越前朝倉家の独立や以後の将軍擁立劇など、年表では無味乾燥なところをいい味付けでいただけました。2021/03/30

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