- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
コレクションにその名を残した裕福な美術愛好家、松方幸次郎、原三渓、大原孫三郎・総一郎、福島繁太郎との交遊を回想する。松方コレクションの買い付けやモネとの交渉、仏文学者成瀬正一との思い出、原三溪邸に滞日中のタゴールの通訳として寄宿したことを契機に日本美術に目覚めた青年時代、大原コレクションを担った児島虎次郎とのエピソードなどがユーモア豊かに語られる。〈解説〉越川倫明
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
浮舟りつ
6
西美「松方コレクション展」、横浜美術館「原三渓展」に行く前に読むべき本。鑑賞後読んでも十分面白かったが、行く前に読んでおくともっと鑑賞が楽しめると思う。 一枚の作品が海を渡って日本にやって来たこと、作家が支援され大家になったこと。作品が生まれる前、作品が生まれた後にもストーリーがある。コレクター、パトロンという目線が注目され始めたことは素敵なことだ。 そして作品を享受できる後世の私たち一人ひとりからもまたストーリーが生まれる。 藝術は作品そのもの以外にも何と数多くのロマンを紡ぎ出すことか!2019/08/01
美幸
5
あー凄い。日本に西洋美術を持ってきた人の回想録。楽しそうで嬉しそうで読んでるこちらも笑顔になる。原田マハさんの「美しき愚かものたちのタブロー」を読んでいたのですが、この矢代さんが田代雄一であると知る。しかも矢代さん、原三渓さんと懇意にされていたとな。花粉が終わるころにまた散歩に行こう。三渓さんの蓮の絵(掛け軸)は皆さんに見て頂きたいくらい素晴らしいです。2021/03/16
ひでお
5
戦前の日本で、大コレクションを作り上げたパトロンたちのお話し。単なる伝記ではなくて、著者の親交があったひとたちのなので、パトロンたちの人となりが実によくわかります。簡潔で実直な語り口に、すぐに引き込まれました。ここで取り上げられているひとたちは、いずれも個人の想いでコレクションを作り上げたようです。こんな豪快で一本気な人たちは、現代社会にはほとんどいないでしょうね。ぜひとも多くの美術ファンに読んでほしい本です。2020/10/10
氷菓子
2
自身は美術の知識がないけれど、日本の発展のために本物の西洋美術が必要だと認識して一大コレクションを築いた松方幸次郎。確かな鑑識眼を持つ美術愛好家で美術品に加えて建築まで収集して三渓園を造った原三渓。当時最先端の病院や農業の研究所を作り、さらに日本初の西洋美術館を建てた大原孫三郎と息子の総一郎。パリで大店の画廊でなく、小画廊に散らばった後期印象派より後の名作を見出して集めた福島繁太郎。それぞれタイプが違うコレクターだが、彼らの収集した美術品は欧米に引けを取らず、日本の美術界発展に大きな役割を果たした。2020/03/12
koshi*
2
松方コレクション展に行き、もっと松方さんのことを知りたいと思って八代幸雄さんの著書を購入し読了。これを読んで、原田マハさんの『美しき愚かものたちのタブロー』はほんとに史実通りに表現されていることに感動を覚えた。松方幸次郎さん以外に、原三溪さんや大原さんについても書かれていて、日本人コレクターたちの素晴らしさや今こうして何不自由なく芸術と触れられる環境が日本にあることに感慨深いものを感じた。2019/09/23