NHK出版新書<br> 名著ではじめる哲学入門

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NHK出版新書
名著ではじめる哲学入門

  • 著者名:萱野稔人
  • 価格 ¥1,001(本体¥910)
  • NHK出版(2021/03発売)
  • 輝く春を満喫!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 270pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784140886335

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内容説明

なぜ私たちは考えることが苦手なのか? 日本人の思考力を磨く実践的哲学のススメ!

「国家とは何か」「権力とは何か」「政治とは何か」と問われて、明確に答えられる人がどれだけいるでしょうか。本書は、西洋哲学の名著を題材に、日本人にとって苦手な「概念によって物事を把握する力」をつけて、「哲学の実践」のスキルアップを図ろうするものです。
一般に「哲学を勉強する」というと、著名な哲学者の本を読んで丸ごと理解しなければならないと思う人が多いかもしれません。しかし、それは哲学研究者のすることで、哲学の本質ではないと著者はいいます。では「哲学」とは何なのか? 著者によれば、まさしく「〇〇とは何か」という問いそのものが極めて哲学的な問いであり、その問いに対して、あるいは物事をとらえるために、概念的に考えたり、概念を練り上げたり、新たな概念を創出したりする知的営みこそが「哲学」だと語ります。
 では、概念的に考えるとはどういうことか? スピノザは、「〇〇とは何か」という問いについて、その問いの答えは、「対象となっているものの〈起成原因〉を表していなくてはならない」(『スピノザ往復書簡集』)と考えました。たとえば、地面に置いてあるボールを子どもが蹴ったとき、ボールが転がったのは「子どもが蹴ったから」とふつうは考えますが、それだけではありません。もし重い岩だったら蹴っても転がりません。ボールが転がったのは、ボールが丸くて軽く弾力性があるからで、また人間がそのように製造したからであり、ゴムという物質が地球上に存在したからであり、さらには硬い地表と重力が作用したからでもあります。これらが「ボールとは何か」の起成原因であり、物事を概念的に考えるということです。
 本書では、このように近代の哲学者たちの名著を、「哲学」「人間」「国家」「政治」「権力」「存在」など、私たちが社会生活を営むうえで根幹となるものにグルーピングして、各項目3~5作品、1作品につき4、5ページのテキスト+イラストで構成します。
著者は「哲学の効用とは、頭をよくしてくれること、そして物事をより明晰に理解させてくれることにある」と断言します。自分の住む世界とはいったい何なのだろうか――。名著を味わいながら、世界のしくみを新たな視点でとらえる哲学の実践的素養が身につく、至れり尽くせりの哲学入門書です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

93
哲学者やその著作を羅列して紹介する本が多いが、本書は、人間/道徳/存在/国家/暴力/正義/歴史など15のテーマに分けて名著を引用する構成である。公知の内容ばかりで目新しさはないが、その中でも、通説にあえて挑戦したような著者の鋭いコメントが印象に残る。スピノザは反国家的でないと擁護し、カール・シュミットの暴力の考え方を理解し、ルナンの「国民とは何か」に対するナショナリズム解釈の誤りを指摘する。特に、アーレントがアイヒマン裁判を正当化したことを厳しく批判するのは、萱野先生らしい。難しくないから気楽に読める。2021/07/23

ころこ

40
本書はのべ50位の古典と呼ばれる哲学書の引用と著者の本文から出来ています。翻訳文が差し込まれて難しい議論が展開されると、前提の知識やそこで覚えなければならない用語に手が出し辛そうに感じますが、意外なのは著者の本文が読み易いことです。確かに引用文は読み辛いと思いますが、引用が難しかったら飛ばしてしまいましょう。著者の文章はそれだけで十分理解できるようになっています。哲学書ごとに数ページずつに分かれていますので、それでもよく分からない論点だったら次へ飛ばせば良いのです。読んでいて随所に出てくるのは、著者のリベ2020/12/25

ta_chanko

21
哲学・人間・自己と他者・道徳・存在・政治・国家・ナショナリズム・暴力・権力・正義・刑罰・自由と平和・資本主義・歴史とは何か?哲学者の著作を引用しながら、本質的な意味を考える。それぞれ独立したテーマながら、全体を通して国家や社会の成り立ちと、その中での個人の存在について考えさせられる内容。いずれも重要なテーマだが、その本質について理解しないまま語られていることが多い。国家・権力・暴力・ナショナリズムなどについて、表面的な批判をする前に、一度その枠組みの外側に立って、客観的・本質的に深く考え直すことも大切。2020/11/11

kubottar

17
哲学書の紹介本。2022/02/01

はる坊

16
人間とは、自由とは、権力とは・・ 各テーマに沿った古今東西の著書からその意味、考え方を問う。 著書の紹介ではなく、その書かれている内容から、何が言いたいのか、現代の問題と照らし合わせてどう参考になるのかを主に話が展開される。 割と読みやすかった。2022/02/06

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