創元海外SF叢書<br> 過ぎにし夏、マーズ・ヒルで エリザベス・ハンド傑作選

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創元海外SF叢書
過ぎにし夏、マーズ・ヒルで エリザベス・ハンド傑作選

  • ISBN:9784488014650

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内容説明

母さんは今年、マーズ・ヒルから戻らないつもりだと、出かける前からムーニーにはわかっていた――毎年夏に訪れる海辺のコミュニティでの謎めいた存在との遭遇、名女優の血を引く6人姉妹の末妹と6人兄弟の末弟が屋敷の屋根裏で出会う不思議、スミソニアン博物館同僚の余命わずかな元学芸員のため、幻の飛行機械の動画を特撮で再現しようとする友人たちが邂逅した奇跡……ネビュラ賞・世界幻想文学大賞受賞の作品4編を収めた、不世出の天才作家による珠玉の抒情SF選集。/【収録作】過ぎにし夏、マーズ・ヒルで/イリリア/エコー/マコーリーのベレロフォンの初飛行/訳者あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

愛玉子

38
夏の終わりのように、どこか寂しく切なくて。限りなく「死」に近い別れは、死そのものとどう違うのだろう、と思う表題作。glamourとgiftの残酷で決定的な違い、そしてラストがとても幻想的な「イリリア」。終末感漂う孤独で美しい世界「エコー」。「マコーリーのベレロフォンの初飛行」の細やかながら素晴らしい奇跡。紹介文には「不世出の天才作家による珠玉の抒情SF選集」とあるけれど、science fictionというよりは日常のなかにすこし・ふしぎが存在する感じ。喪失感と、相反するような静かな温かさに満ちた作品集。2021/06/19

ぽてち

36
4篇を収録した作品集。「過ぎにし夏、マーズ・ヒルで」はネビュラ賞と世界幻想文学大賞を、「イリリア」は世界幻想文学大賞を、「エコー」はネビュラ賞を、「マコーリーのベレロフォンの初飛行」は世界幻想文学大賞を受賞と、すべての作品が賞を獲得しているまさに傑作選だ。ただし、どの作品も“普通”で、とくにSFやFTを感じさせるものではない。バリバリのジャンル作品を期待すると肩透かしを食らうが、どの作品もしみじみとした味わいがあって良かった。2021/05/16

信兵衛

33
ネビュラ賞、世界幻想文学大賞等をそれぞれ受賞の4作をまとめた“傑作選”。 なんとまぁ贅沢な一冊か、と惹かれた次第です。2021/05/02

小太郎

28
エリザベス・ハンドの傑作集。4編のどれもがネビュラ賞、世界幻想文学大賞などの受賞作。期待して読んだんですけど何故か読むのに時間が掛かりました。幻想文学系はすっと気持ちが入っていける作品となかなか世界観に馴染まない作品があるのですがどちらか言えば馴染みにくかったです(訳のせいかな)。ネビュラ賞と言ってもどれもがSFよりも幻想系です。ただどの作品も繊細に人を悼んだり思いやったりする暖かい気持ちが伝わってきました。「マコーリーのベレロフォンの初飛行」が一番素敵でした。2021/12/24

くさてる

28
美しかった。切なかった。目の前に広がる情景が、登場人物の感情をともなってくっきりと目に浮かぶような文章だった。そこに浮かび上がる物語は、喪失と孤独、死の匂いがするものばかりなのだけど、たまらなく美しかった。抒情SF、とあるし、そういう受け取りもできるけれど、わたしはより幻想とファンタジーを感じました。幻想的なビジョンのなかで〝才能〟の残酷さ、芸術の世界で生きることをリアリティ持って描いた「イリリア」、世界に何か起きたあとも島で一人暮らす女性の物語「エコー」がとくにお気に入りです。おすすめ。2021/06/06

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