日経ビジネス人文庫<br> 食糧と人類 飢餓を克服した大増産の文明史

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日経ビジネス人文庫
食糧と人類 飢餓を克服した大増産の文明史

  • ISBN:9784532240028

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内容説明

2016年1月に刊行された同名書の文庫化。

○都市の夜景を彩るライト、地平線まで広がる穀物畑……空から眺めれば、人類の活動の痕跡は至るところにみられる。人間は生息数を何倍にも増やし、生息分布を拡大したという意味において、生物界における極端な成功例である。何十億人もの人々のための食料生産と住宅供給は、地球を変える巨大な力になっている。
 数万年前までは他の動物と同様に野生動植物の狩猟と採取にだけ頼っていた人類が、なぜ食料生産に成功し、爆発的に生息数を増やすことができたのか? 本書は、コロンビア大学教授でマッカーサー・フェローでもある著者が、人類が自然をコントロールし、食料生産を増やしていった過程を歴史的観点から描くもの。

○これまで人類は、大河の恵み、焼畑、鶏糞や屎尿など肥料の工夫、そして近代以降は種や品種の改良と化学肥料、農薬の発明によって、食料危機を何度となく乗り越えてきた。一方でこの100年の急激な食料増産は記録的なペースだった。その結果、人口急増、肉食の横行、土壌の疲弊、水不足、食料供給の不平等といった数々の問題が起きている。私たちはこうした難問をどう解決していくのか? 本書はSDGsの半分以上の項目に関係する内容であり、人類史レベルで持続可能な未来を考えていくうえで必須の本といえる。

目次

プロローグ 人類が歩んできた道
第1章 鳥瞰図--人類の旅路のとらえかた
第2章 地球の始まり
第3章 創意工夫の能力を発揮する
第4章 定住生活につきものの難題
第5章 海を越えてきた貴重な資源
第6章 何千年来の難題の解消
第7章 モノカルチャーが農業を変える
第8章 実りの争奪戦
第9章 飢餓の撲滅をめざして--グローバル規模の革命
第10章 農耕生活から都市生活へ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

71
人類がいかに自然の恵みである食糧を増産してきたかというある種の技術史的な要素が強い本。水や窒素、リンなどの自然循環では漸進的な食糧増産しかできない中、化学肥料や品種改良など、様々な知恵の発露で人口に見合う食糧を作り続けてきた歴史をたどっている。その過程で様々な問題が生じ、現代では地球温暖化、肥満など種々の課題が発生していることに言及しながら、結局は極めて楽天的な見方をする。煎じ詰めてしまえば、「先のことはよく分からないが、今までも人間は知恵で乗り切ってきた。これからも乗り切れるだろう」といった感じだ。2024/04/04

アナクマ

31
霞を食っては生きられない。自然環境に手を加え、動植物を摂取して命をつなぐ私たちの食の文明史。◉1-3章。構えは大きい。高所から人類活動をとらえる導入部、この惑星の特性、遺伝子に累積学習と、なかなか「食」に至りません。しかし読ませる。語りは心地良く、一般向け「人文&自然科学」の類書と比べても読みやすさを感じました(混合歩合は4:6の印象)。難易度も私にはちょうどいい。◉4章_定住生活に移行してからの食糧調達の難題「土壌養分と労働力の補充」。窒素・リンの循環。家畜の活用。ある意味では外部不経済の始まり。続く。2021/06/02

アナクマ

30
改題「食糧増産の人類史」。7章_モノカルチャー。自然選択、品種改良のしくみ解説はちょっと退屈。続いてトウモロコシ・小麦・大豆の事例紹介でしたが、穀物メジャーの毀誉褒貶なども知りたかったところ。◉「人類は豊かになるにつれてデンプン質の摂取量が減る(畜産物が増える)」→「あらゆる国、あらゆる文化にあてはまる共通のパターン」として「かなりいい線までいった」事例とのこと。◉飼料からのタンパク質変換効率(というのかな)は、牛肉5%、鶏肉25%、牛乳40%。要は太陽エネルギーの濃縮のさせ具合の違い(化石燃料も含め)。2022/03/05

アナクマ

27
5-6章_交易の本格化とコロンブス交換。窒素、水、リンの確保。グアノの堆積30m。硝石戦争はボリビアから海岸線を奪い、バッファローの骨は貨車単位で拾い集められる。仮想水。ハーバー・ボッシュ法の考案。ラチェットは回る。◉10章_ 論は偏らず平易なまま現代に到達。10億の飢餓と10億の肥満、そして地球の疲弊を指摘しておきながら、立場も結論もソフトすぎると誹るだろうか。「もともと人類は自然界から課せられた制約のもとで生きる以外なかった」の一文が、「何かと便利に使われる」持続可能な未来への道標になると信じよう。→2021/06/09

Bashlier

14
3/5 産業革命以降、過去とは比較することが出来ない程のペースで人口が急増。背景には急激な食糧増産。その歴史が非常にわかりやすくまとめられた良作です。マルサスとの比較のため、下準備としてよい学習になりました。ただし、食料大増産は”環境負荷を無視してエネルギーが無尽蔵に使えることを前提”として成立しているという点も浮き彫りにしています。世界の投資家がESGを重視し始めた今、この土台が崩れるのか、そうでないのかリアルタイムで見守る時が来ております。2023/03/07

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