誰がために医師はいる――クスリとヒトの現代論

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誰がために医師はいる――クスリとヒトの現代論

  • 著者名:松本俊彦【著】
  • 価格 ¥2,860(本体¥2,600)
  • みすず書房(2021/04発売)
  • ポイント 26pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784622089926

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内容説明

嗜癖障害の治療は誰を幸せにすれば終わりなのか? 薬物依存症をはじめとする、嗜癖障害治療の最前線で戦ってきた精神科医の半生記。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

鉄之助

243
シンプルで一見、地味な装丁ながら、中身がギュッと詰まった1冊だった。薬物依存症の臨床医である著者の「荒れた中学」時代から書き起こされた半生記、の形式をとっているが”依存症の本質”を突く名著だ。覚せい剤事犯で逮捕された、のりピーの謝罪会見で、彼女が流した涙は「22滴」(芸能レポーターの故・梨本勝の観察による)など、読みやすい導入からスッと核心に入る構成は、素晴らしい。日本の薬物取締の限界と、これからあるべき姿が具体的、的確に示されていた。「ダメ、ゼッタイ」では「絶対だめ!」なのだ。2022/12/04

みっちゃん

163
次男からのオススメ本。著者は私もテレビや新聞でお見かけした、依存症治療の第一人者。とても面白く読み易い文章。自虐も交えながら、可笑しみのある筆致で描かれたこれまでの人生にはしばしばぷぷっと吹き出してしまう。が、そこから浮かび上がる、離れたくても薬物に依存してしまう患者への真摯な姿勢。依存症の背後には必ず深い心の傷と孤独がある。それと向き合わずに徒に罰して刑務所に送り込んでも依存症は繰り返される。「アディクション(依存症)の反対語はしらふ、ではなくコネクション(つながり)」心に留めて報道等に接していきたい。2021/10/28

ゆいまある

142
筆者は薬物依存症治療の第一人者。違法薬物に嵌まる人は快楽を求めているのではなく、苦しさを紛らわす為に使っている場合がほとんど。罰則強化は患者を追い詰めるだけであり、治療的ではないと声を上げ続けている。トラウマ治療にも詳しい。私と年が変わらないのに研究も啓蒙もこなすカリスマ医師。それまでの常識に囚われず、より患者さんに共感する姿勢が眩しい。自身の車依存やコーヒー依存にも触れ、人は誰しもクレイジーであると気付かせてくれる。何が違法かは国による。酒のほうが大麻より身体に悪いのよ。それはもっと知られていいと思う。2023/01/16

アキ

97
依存症を専門にする精神科医のエッセイ。医師は免許を取って医師になるのではなく患者から教わって医師になる。担当の覚せい剤依存の若い女性が自殺したことで、患者のトラウマ体験を積極的に訊くようになった。医療者ができることは海で溺れている依存者に「浮き輪」を投げてやることしかできない。その浮き輪をつかんで泳いで陸に辿り着くのは依存症自身なのだ。「人間は薬物を使う動物である」アルコールを分解できる動物はヒト、ゴリラ、チンパンジーだけ。そういう医療者もまた患者に求められれば応じざるを得ない薬物療法依存症なのである。2021/05/26

ネギっ子gen

72
嗜癖臨床最前線で戦い続ける精神科医の半生記。いかにも「みすず」という装幀。<「ダメ。ゼッタイ。」は嘘だ/良い薬物も悪い薬物もない、あるのは良い使い方と悪い使い方だけ/「困った人」は「困っている人」/国が薬物対策としてすべきことは、法規制を増やして無用に犯罪者を作り出すことではない。薬物という「物」に耽溺せざるを得ない、痛みを抱えた「人」への支援こそが必要/これは私なりの挑戦であり、戦いなのだ。そう自覚するに至るまでの彷徨や雑感をまとめたもの>。良書!【人生において最も悲惨なことは、一人で苦しむことです】⇒2021/09/20

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