「問い」としての公害 - 環境社会学者・飯島伸子の思索

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「問い」としての公害 - 環境社会学者・飯島伸子の思索

  • 著者名:友澤悠季
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  • 勁草書房(2021/04発売)
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  • ISBN:9784326602643

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内容説明

環境問題の起点として語られる「公害」。公害を「過去の教訓」として、「環境」を未来に属する事柄へ分類する現在の環境学のあり方は、私たちが今現在に起きている人の痛みを想像することを難しくしてきたのではないか。公害が社会問題として認識され始めた時代を生きた一人の女性研究者の視点を通じ、公害から現在に通じる問いを提示する。

目次

目次
はじめに

序章 「問い」としての公害
 一 〈公害から環境へ〉という認識の再検討
 二 「問い」としての公害
 三 飯島伸子のまなざしから

第一章 「公害」「環境」概念の系譜
 一 「潮目」をとらえる
 二 「公害」「環境」概念の系譜
 三 飯島伸子にとっての「公害」と「環境」

第二章 「社会学」は「公害」を把握しうるのか
 一 「オフィス・レディ」の転身─一九六〇年代
 二 原点としての「災害分科会」
 三 二つの足場からの問い
 四 問われ続ける「社会学」の有効性

第三章 「社会学」はいかにして「被害」を証すのか
 一 「被害」の考察への出発─一九七〇年代
 二 「被害構造論」とは何か
 三 「社会学」はいかにして「被害」を証すのか─薬害スモン調査における格闘
 四 飯島伸子における「被害構造論」の射程

第四章 「美容の社会学」はなぜ環境問題研究か
 一 『髪の社会史』という作品─一九八〇年代
 二 作品としての『髪の社会史』
 三 美理容業研究の全体像
 四 被害者としての「労働者」と「消費者」
 五 声になる以前のものへ

第五章 「環境社会学」の形成と制度化─「地球環境」の磁場のなかで
 一 「地球環境ブーム」の到来─一九九〇年代
 二 「環境社会学」の自画像
 三 「地球環境問題時代」における飯島伸子

終章 問いかける「公害」─人間を基点とした環境論を
 一 「同苦」する者として
 二 「窓」としてみる飯島の視座の普遍性
 三 問いかける「公害」─人間を基点とした環境論を


おわりに
飯島伸子著作目録
飯島伸子略歴
参考文献・原資料
人名索引
事項索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Nさん

2
環境社会学のパイオニア飯島伸子の研究を辿り、公害と環境の概念の再考を促す力作。環境問題という大きな概念の一部に内包され、もはや過去のものとされがちな「公害」概念。被害とは目に見えるものに限らずもっと複雑なもの。しかし、数値や金銭のみにしか還元されないという現実。飯島を動かしたのは生の声を通した被害者(と加害)へのまなざしだった。学問の枠を超えて災害に向き合う有志たち(災害分科会)の中で揉まれ、学術(社会学)が公害をどのように捉え有るのかを問うた。実践性を重視する「環境社会学」の原点を確認できた気がする。2018/05/10

menocchio

0
環境社会学の草分けとされる飯島伸子の思索の軌跡を辿る。一人の研究者に焦点をあて、「公害」「環境」概念を問い直すというのは面白いアプローチだと感じた。多岐にわたる取組を丹念に追うことで見えてきたのは、<公害から環境へ>という時代の流れのなかで、「環境」という便利な言葉が覆い隠してしまうものにこだわりつづけた飯島の姿だった。「被害」に着目し、公害から労災・職業病、薬害を地続きに考える彼女独自の視点は、生身の人間の苦悩に寄り添い、部外者には見えにくい被害の広がりを明らかにしようとするものだった。再考すべき課題。2016/09/07

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