内容説明
1990年代以降、とりわけ2000年代以降、国際開発の世界で中心的に取り上げられてきたガバナンス(good governance:良き統治と同じ意味で使う)を考察する本書は、開発のプロセスが政治的であることを論じながら具体的な政策提言までも射程とした。広く開発と政治に関わる研究者・実務家に最新の分析を提供することで意義深いと考える。
目次
目次
はしがき
第I部 途上国開発戦略におけるガバナンス
第1章 「人間の安全保障」はポストMDGsの枠組みとなるか――2015年以降の開発戦略[西川由紀子]
1.はじめに
2.「人間の安全保障」の登場
3.ミレニアム開発目標(MDGs)と開発戦略の枠組み
4.「人間の安全保障」と2015年以降の開発戦略
5.まとめ
引用文献
第2章 途上国開発戦略におけるガバナンス[木村宏恒]
1.『開発政治学入門』で論じたことのまとめ
2.ガバナンス論への各種の疑問
3.2000年代にガバナンスへの注目はどう展開したか
4.まとめ
引用文献
第3章 開発途上国の公共政策と政策過程――国際開発学と政治学の接合[近藤久洋]
1.はじめに
2.公共政策と政策過程論に関する先行研究
3.開発途上国の政策過程論
4.公共政策の政策過程への改革
5.国際開発学と政治学の相互貢献と接合
6.結論
引用文献
第II部 開発と国家
第4章 経済成長を促進する政治システム――官僚制とリーダーシップ[木村宏恒]
1.『開発政治学入門』で論じたことのまとめと次の課題の設定
2.2000年以降に行政と行政改革への注目はどう展開したか
3.行政重視論への各種の疑問
4.行政改革推進のためのリーダーシップ論への注目
5.まとめ
引用文献
第5章 「法の支配」の構築はなぜ難しいか――その構築過程の政治性[志賀裕朗]
1.はじめに
2.法の支配構築支援の経緯と現状
3.法の支配とは何か
4.法の支配の構築はなぜ難しいか
5.法の支配構築過程に関与するアクターたちの分析の必要性とその視点
6.アクター分析の試み
7.まとめ
引用文献
第6章 汚職撲滅を阻む要因と促進する要因[小山田英治]
1.はじめに
2.昨今の途上国の汚職事情と国民意識
3.途上国の反汚職改革に関する現状分析
4.反汚職改革の促進と阻害要因の分析
5.過去からの教訓と今後の課題
6.まとめ
引用文献
第III部 開発と民主主義体制の構築
第7章 多民族国家における民族間協調の方法と条件[金丸裕志]
1.はじめに
2.民族間協調の方法
3.多民族国家の分類
4.民族間協調の方法と条件
5.まとめ
引用文献
第8章 民主主義の定着と開発における市民社会――社会・政治に埋め込まれた「公共性」[近藤久洋]
1.はじめに
2.市民社会をめぐる言説
3.開発途上国の市民社会――社会に埋め込まれた公共性
4.開発途上国の市民社会――政治に埋め込まれた公共性
5.民主主義の定着――開発において市民社会をどう機能させるか
6.結論
引用文献
第IV部 開発援助とガバナンス支援
第9章 紛争後のガバナンス構築――総括と展望[西川由紀子]
1.はじめに
2.統括
3.紛争後の支援は成功しているのか
4.「国づくり」の支援の課題と展望
5.まとめ
引用文献
第10章 民主化支援の実態と比較[杉浦功一]
1.はじめに
2.民主化支援のアクター国連,EU,アメリカ政府
3.ミャンマー
4.ルワンダ
5.フィリピン
6.まとめ
引用文献
第11章 結章[近藤久洋]
1.はじめに
2.途上国開発戦略におけるガバナンスの論点
3.おわりに
引用文献
事項索引
ほか
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