内容説明
伝統医学の変革者とも、賢者の石をもちホムンクルスをつくり出した魔術師ともいわれるパラケルスス。激動の16世紀ドイツで、神が創造した世界の秘密を解明すべく、魔術とキリスト教思想を融合するとともに、自然を経験的に理解しようとした。彼が生涯をとおして探求したものはなんだったのか?当時の知的・文化的・社会的なコンテクストをとおして浮き彫りにする。
目次
bibliotheca hermetica 叢書の発刊によせて
プロローグ
第一章 パラケルススの生涯──遍歴と著作
第二章 本草学的な伝統と錬金術──ルネサンス博物学の一面
はじめに
1パラケルススの植物観
2本草学から錬金術へ
3パラケルススとゲスナー──結論にかえて
第三章 物質のメタモルフォーゼ──化学哲学の源流
はじめに
1四元素
2三原基
3四元素と三原基の相互関係──事物の発生と成長
おわりに
第四章 グアヤック批判と梅毒論からみる医学思想
はじめに
1ヨーロッパの梅毒流行
2グアヤックをめぐって
3パラケルススの梅毒論
おわりに
第五章 予言書の位置づけ──占星術文化とキリスト教倫理から
はじめに
1パラケルススの天文学
2占星術
3予言書
4占星術批判の真意
おわりに
第六章 ルネサンスの類似の概念と魔術的な空間
はじめに
1類似の世界
2魔術的な空間
3世界のなかの人間
おわりに
エピローグ
補遺 「徴」の理論
はじめに
1本草学と徴
2哲学と徴
3予言と徴
4天文学と徴
おわりに
あとがき
文献一覧
図版一覧
初出一覧
人名索引