内容説明
都市暴動、過激主義によるテロリズム、極右政党の台頭。「多文化」と「多分化」の間に揺れるイギリスにおいて、人々の連帯はいかにして可能か。本書は、リベラル・ナショナリズム、多文化主義、イスラームをめぐる社会学・政治哲学の議論をもとに、労働党政府の政策を分析し、グローバル化時代の社会統合の可能性を照射する。
目次
はじめに
序論
1 世紀転換期のイギリス──社会統合とムスリム
2 社会統合の理論
3 アイデンティティと/の政治
4 多文化主義とリベラル・ナショナリズム
5 先行研究と意義
6 本書の構成
第1章 グローバル化、「超」多様化、不安の政治
1 多様化するイギリス
2 「超」多様化するイギリス
3 移民、ムスリム、不安の政治
4 アイデンティティの政治──不安、分断、包摂
第2章 多文化主義とリベラル・ナショナリズム論
1 リベラル・コミュニタリアン論争
2 多文化主義
3 多文化主義への批判
4 リベラル・ナショナリズム論
5 リベラル・ナショナリズム論への批判
補論1 デュルケムと今日のナショナリズム論
第3章 戦後イギリスの社会統合政策──戦後から一九九七年まで
1 政治的バーター(1)──一九六二年英国連邦移民法と一九六五年人種関係法
2 政治的バーター(2)──一九六八年人種関係法と一九六八年英国連邦移民法
3 政治的バーター(3)──一九七一年移民法と一九七六年人種関係法
4 サッチャリズム──合意から排除へ
5 ローカルな多文化主義
6 バックラッシュ──ハニフォード事件とラシュディ事件
第4章 多民族社会イギリスの統合をめぐる定義──制度的人種主義からコミュニティの結束へ
1 『マクファーソン報告』
2 『パレク報告』
3 第三の道、コミュニタリアニズム、ソーシャル・キャピタル
4 北イングランド暴動
5 『カントル報告』
6 『カントル報告』の特徴──『パレク報告』との比較
7 制度的人種主義からシティズンシップへ──『全ての人の場所』と『結束的コミュニティの構築』
第5章 移民、シティズンシップ、ブリティシュネス──リベラルなナショナリズム
1 イギリスにおけるシティズンシップと教育
2 新労働党のシティズンシップ教育
3 プログレッシブ・ジレンマ──白人系の不満とシティズンシップ
補論2 多から構成された一──紛争理論、抑制理論、アイデンティティ
4 シティズンシップと移民
5 七・七と多文化主義の失敗
6 ブリティシュネス
補論3 ブリティシュネスの歴史と性質
7 難民──包摂されざる外部
第6章 若者ムスリムとブリティシュネスの政治
1 イギリスにおけるムスリムの意識
2 若者ムスリムと過激主義
3 若者ムスリムの二重の疎外
4 統合の義務
5 新労働党政府のテロリズム「防止」政策
第7章 平等、多様性、接触
1 「コミュニティの結束」の定義
2 「機会の改善、社会の強化」計画
3 雇用・教育政策とその成果
4 平等と多様性のための法制度
5 接触の科学と政策
6 シティズンシップ教育の実践
7 サーベイとコミュニティの結束
第8章 信仰学校をめぐる政策と論争
1 イングランドにおける信仰学校
2 新労働党政府と信仰学校
3 信仰学校をめぐる論争──コミュニティの結束との矛盾
4 信仰学校とコミュニティの結束──文化を通じた統合
第9章 フランスとイギリスのスカーフ/ヴェール論争──欧州人権条約第九条と経路依存性
1 ナショナルな経路依存性──共和主義モデルと市民社会モデル
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