内容説明
天然痘・コレラ・インフルエンザ、そして「疫病の後」。繰り返し襲いくる見えない恐怖を主題とする7編。コロナの時代に必読の1冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
メタボン
36
☆☆☆ 疫病がテーマの短篇集。バラード「集中ケアユニット」が一番印象強かった。まさにコロナとの共存を模索する現代の状況を予言しているかのような作品だった。疫病を巨人にたとえたファンタジーのストーカー「見えざる巨人」も良かった。アン・ポーター「蒼ざめた馬 蒼ざめた騎手」はストーリーは良かったが過剰な文章が私にはあわず、とっと読むのが苦痛だった。2021/11/25
くさてる
27
天然痘、コレラ、インフルエンザ、疫病……人類の歴史に登場した疫病が登場する短編のアンソロジー。どれも読み応えあったが、キャサリン・アン・ポーター「蒼ざめた馬 蒼ざめた騎手」がいちばん良かった。第一次世界大戦のさなか、働く女性であること、戦地に赴く恋人、インフルエンザの影響のなか、熱に浮かされさまよう思考の描写が素晴らしく美しく、はかなく、現実に着地するまでの流れがとても印象的でした。2021/09/15
花林糖
24
シリーズ3作目。『病編』『医療編』は未読。疫病・天然痘・コレラ・インフルエンザ・疫病後を描いた短編集5話。ポー「赤い死の仮面」、キプリング「モロウビー・ジュークスの奇妙な騎馬旅行」、バラード「集中ケアユニット」が特に良かった。一番好みはポー。面白みは薄いけれど興味深かったです。解説が面白く読み応え有り。 2021/06/24
mawaji
10
「病編」「医療編」に続く3作目は時宜に叶った「疫病編」。疫病文学を読んで気づくのは、パンデミック時の人間の反応というのは時代を遡っても大きな変化はなく、同じことを繰り返してきているということ。それを知れば自ずとどのように対応すればよいのか基本的なことがわかってくるのではないかと思いますが現実ではそうもいかないようです。「戦争の最悪なところは、出会う人たちみんなの目に恐怖や不信や怯えがあること」「恐怖の中で生きなければならないから、こそこそしたり嘘をついたりする」という記述は戦争と疫病の類似性を思わせます。2021/05/04
dokusyotyu24
8
短編集。7編の中短編が収録されているアンソロジー。石塚久郎監訳。第一次対戦中のインフルエンザパンデミックを背景に、戦地に向かう恋人との束の間の逢引を描いた、キャサリン・アン・ポーター『蒼ざめた馬 蒼ざめた騎手』が好みだった。また近未来SFであるJ•G•バラードの『集中ケアユニット』も面白かった。よくこの物語を「疫病」をテーマにしたアンソロジーに収録したなと、監訳者の選書眼に感服した一編。 また解説も充実しており読み応えがあった。疫病を文学として記憶する、という切り口は興味深い。2021/07/13




