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内容説明
ベジタリアンやビーガンといえば、日本ではいまだ「一部の極端な偏った人」と思われる風潮があるが、世界では、肉食と環境問題は密接にリンクした問題として認識が広まっている。動物倫理学は功利主義の立場から動物解放論をうたうピーター・シンガーを嚆矢とし、1970年代から欧米で真剣な議論と研究が積み重ねられ、いまや応用倫理学の中で確固とした地位を占めるに至った。本書は倫理学の基礎に始まり、肉食やペットなど具体的な問題を切り口に、いま求められる動物と人間の新たな関係を問う、動物倫理学の入門書である。
目次
はじめに
第一章 なぜ動物倫理なのか
第二章 動物倫理学とは何か
第三章 動物とどう付き合うべきか
第四章 人間中心主義を問い質す
第五章 環境倫理学の展開
第六章 マルクスの動物と環境観
おわりに
註
参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
103
ピーター・シンガーを嚆矢とする動物倫理学は、動物を人間のための手段とすること自体を不正とする強い理念であり、思いやりを持って動物を扱うというような動物福祉的な甘い考えとは似て非なるものであることを思い知らされる。倫理学という体系の中に動物を組み込むためには、動物に内在的価値を認めることが必要となるが、それが正しいのかどうか私には分からない。食肉、動物実験、野生動物の展示、狩猟・駆除、ペットなどの具体的な課題が示されるが、原理主義的な論争でなく、現実社会とのミチゲーションを図れる解決策はないものだろうか。2021/07/06
アナーキー靴下
80
特定の信仰を持たない私にとって、倫理とは、己の中の神ともいえるものである。この本は私にとって失敗、相性最悪で、無理矢理改宗を迫られたかのような不快感しかなかった。私が思う倫理という概念と倫理学には隔たりがあるのかもしれないが、多くの人の現状の倫理とはかけ離れたものを、これが正しい倫理だと提示されることには違和感がある。もちろん、みんな肉を食べているから肉食は正しい、ではないし、動物たちが置かれている現状を理解して倫理をアップデートしていくことに異論はないが、倫理は重視すべきだからこそ、丁寧に扱うべきだ。2021/07/16
ふみあき
23
動物愛護の話題と言えば、ペットの虐待や殺処分ばかりで、肉食の是非が論じられないのは私もおかしいと思っていた。だから工場畜産での非道を告発し、人類はゆるやかにビーガンを目指すべき、というところまでは賛同できる。が、動物園は「動物虐待施設」という主張まで行くと、もうついて行けない。生息地から移送され、人目に晒されるストレスを問題にするが、自然環境で捕食に怯えるストレスと比べてどうなのか。人間も職場でのストレスで、鬱病になったり自殺したりする。完全にストレスフリーな環境は、人間にだって保障されていないと思うが。2021/03/25
ケディーボーイ
21
多様性を認める社会ならば論理的帰結として当然に動物の権利を認めなければいけないようになっていく。 ダーウィンの進化論やDNAの二重らせん構造の解明などから伝統的な人間特殊論は論拠が薄くなってきているのも一要因。 牧場の動物達を可愛いと思っているのに肉を食べてることに自分の中で整合性が取れず、説得されたらビーガンになりそうだなぁと思っていたけど…案の定。できる事からやっていくかぁ。2021/05/09
ゆう
15
面白かった。私の価値観と対立することが多く、刺激的な読書体験だった。著者あとがきに「あなたが食べている肉を取り上げて罵声を浴びせかけるようなことは全く意図されていない。このことをどうか理解していただきたいと願ってやまない」と書かれている通り、一歩ひいて「ふーん、こんな考えがあるんだ」と読むと受けるストレスが少なく済んでいいかもしれない。何度も読書中に理論に中庸はないのか、0か100の話ばかりで非実践的な理論ばかりじゃないかと思った。人間はどんな生活様式でもある程度自然を破壊・加工する雑食動物なのでね。2024/05/15
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