集英社新書<br> ネオウイルス学

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集英社新書
ネオウイルス学

  • ISBN:9784087211597

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内容説明

新型コロナパンデミックで注目されるウイルス学の新領域。ウイルスと生命、共生と進化の未来を探る! ウイルス学の世界的権威、河岡義裕を領域代表者として2016年に発足した新学術領域ネオウイルス学。従来のウイルス学は人間に害を及ぼすウイルスを主とし研究が進められてきた。だが、ウイルスには害だけでなく益を及ぼす側面もあることに注目し、人獣のみならず温泉や海、植物にも存在しているウイルスすべてを研究対象にしたのがネオウイルス学だ。また、新型コロナの次のパンデミックに備えることも含め、ウイルス研究における基礎研究の厚み、さらにウイルス学、生物学、獣医学、医学、数理学等、領域横断的研究の重要性も明らかにしている。本書はこの領域の諸研究と可能性を専門家二〇名が平易に解説する。

目次

はじめに――ネオウイルス学とは何か? 河岡義裕
第一章 ウイルスと宿主の共存(一生ヒトの体内に潜んでいられるウイルス――ヘルペスウイルス 川口寧
ウイルスが植物にもたらす利点とは? 高橋英樹)
第二章 共に進化する宿主とウイルス(野生動物のウイルス調査で、未来の感染症に備える 澤洋文
ヒトの染色体に組み込まれたボルナウイルス 朝長啓造
C型肝炎ウイルスはなぜヒトの肝臓で増殖するのか 松浦善治
生物は進化の過程でウイルスから多くの遺伝子を獲得してきた 堀江真行
ウイルスをさまざまな観点から俯瞰的に理解する 佐藤佳)
第三章 さまざまなウイルスたち(「ヤドカリ」「ヤドヌシ」と呼ばれるウイルスの共生関係 鈴木信弘
海とウイルスと私 長崎慶三
ウイルスは生命の一部であり移動する遺伝体 中川草)
第四章 ウイルスを視る!(ナノレベルの微細な働きを、電子顕微鏡で視る 野田岳志
巨大ウイルスの構造解析 村田和義)
コラム 「こんなウイルスがあったらいいのに……」一〇〇人のウイルス学者と学生が考えた〈夢のウイルス〉 牧野晶子
第五章 ウイルスを探す(フィールド調査――ウイルスの〈生息〉現場を知ることの重要性 渡辺登喜子
温泉の古細菌ウイルス――古細菌ウイルスと生命の起源 望月智弘
ウイルスハンティングを通して感染症対策を講じる 大場靖子)
第六章 数理でウイルスを知る(感染の仕組みと広がりを数式で解く 西浦博
実験では示せないことがらを数字で証明する 岩見真吾
国際的な感染症対策から数理生物学まで――領域横断的研究 古瀬祐気)
おわりに――新型コロナウイルスのその先へ 河岡義裕
執筆者略歴