主権者のいない国

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主権者のいない国

  • 著者名:白井聡【著】
  • 価格 ¥1,870(本体¥1,700)
  • 講談社(2021/03発売)
  • ポイント 17pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065216866

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内容説明

「なぜ私たちは、私たちの政府はどうせロクでもないと思っているのか。その一方で、なぜ私たちは、決して主権者であろうとしないのか。この二つの現象は、相互補完的なものであるように思われる。私たちが決して主権者でないならば、政府がロクでもないものであっても、私たちには何の責任もない。あるいは逆に、政府はつねにロクでもないので、私たちに責任を持たせようとはしない。
 だが、責任とは何か。それは誰かに与えてもらうものなのか。そして、ここで言う責任とは誰に対するものなのか。それは究極的には自分の人生・生活・生命に対する責任である」
本文より抜粋 


政治が国民にとって「災厄」となった絶望の時代を、私たちはどう受け止め、どう生きるべきなのか?

いま日本でもっとも忖度しない、ひよらない、おもねらない政治学者の最新論考!

国民を見殺しにして、お友だちの優遇や経済を優先する現権力の暴走の根源にあるものとは?
資本主義の「人間毀損」が行きついた果ての「命の選別」を受け流さず、顕在化した社会的モラルの崩壊に立ち向かうための必読書!

序章  未来のために想起せよ
第一章 「戦後の国体」は新型コロナに出会った
第二章 現代の構造――新自由主義と反知性主義
第三章 新・国体論
第四章 沖縄からの問い 朝鮮半島への想像力
第五章 歴史のなかの人間
終章  なぜ私たちは主権者であろうとしないのか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

92
白井さんは熱いなあ。安倍首相の無能・無教養・不誠実を口を極めて罵り、沖縄・朝鮮半島などのタブーにも鋭く切り込む。新自由主義と反知性主義を強く非難する論調に一点のブレもない。余りの先鋭ぶりに危うさはあるが、私は氏の熱さを応援したい。持論である「永続敗戦論」で、菊から星条旗に「戦後の国体」が転換してきたこの国の欺瞞を鋭く追及するが、もしかしたら、「国」とか「社会」という存在そのものが、主権者には無価値なものになっているのかもしれない。「社会などというものは存在しない」と言い放ったサッチャー首相が思い浮かぶ。2021/06/13

みねたか@

35
今作もド直球である。「安倍政権の7年あまりは日本史上の汚点である」と切り捨て,現状を「資本家でもないのに資本の価値観利害論理を内面化したエア資本家が大量発生」と喝破する。若い世代について「政治のみならず社会全般に対して関心がなく,あたかも社会など存在しないような感覚」という評や,復興五輪という発想が「焼け跡から平和へ」という物語以外に現在の日本人が何ら歴史的想像力の源泉を持ち合わせていないことを示すという見立てに思わず納得。その凛とした姿勢に背筋が伸びる。2022/06/15

踊る猫

25
この国がどうして変わらないのか。もう少し真面目に(?)問うなら、「私」がどうしてこの国を変えようとしないのか。安倍政権が残した数々のスキャンダルやこのコロナ禍の事件を材料に、著者はこちらに届く匕首を突きつける。私も安倍・菅政権には批判的だが、こうして改めて材料を並べて「なぜだ?」と問われると安寧な一読者では居られないなと(少しイヤミ混じりにだが)思う。この著者が若いからなのか、歴史や経済的指標を図式化し紹介する手つきにはスマートさが感じられる。それに上乗せされて「憂国」の主張が施されるので、迫力が存在する2021/05/12

まゆまゆ

19
戦後から変わらない日本の無責任の体系は、現代社会においても顕著であるのはなぜなのか。なぜ政治に対して空虚な気持ちになるかといえば、私達一人ひとりが主権者として自ら困難を引き受けようとする精神態度を持っていないことにつきる。正しい情報によって判断することが難しい現状において何を信じればいいのか、それすら個人に任されているのもまた問題を複雑にしているように思う。2021/07/16

九曜紋

14
最近またマルクス主義的言説が盛り上がりを見せているが、それも新自由主義が行き詰まりを見せていることから来る反動であろう。著者はもともとマルクス主義派の政治学者。反知性主義の象徴であった安倍晋三を徹底的に罵倒することで、日本の現状を憂えてみせる。安倍政権下の約8年間の治世は酷かったが、かといって政権を担えるだけの野党もなく、日本は今、本当に危機的状況にある。ただ、象牙の塔というある種の安全圏に居て、上から目線で反知性主義者と親米保守派を叩いてみてもこの国は変わらない、ということを著者はもっと認識するべきだ。2021/03/28

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