内容説明
エッセイとスケッチで綴る36の小説の娯しみ。樋口一葉『たけくらべ』から幸田文『おとうと』まで、なつかしい日本の心の情景。読んで歩いて描く大好きな小説36景――檸檬を一顆、美術書を積みあげた上にそっと置いてきた梶井基次郎のあとをたどって描く、京都河原町・丸善の面影。樋口一葉「たけくらべ」の吉原大門あたりから、幸田文「おとうと」の向島まで、こよなく読書を愛しむ画家が描く小説の舞台。懐かしい日本の36の風景を、スケッチとエッセイで織りなす珠玉の画文集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
155
安野さんが講談社の雑誌「本」に連載した読書にかかわるエッセイとそれに関連した絵が描かれています。安野さんは画家であるとともに読み巧者であるとも感じています。36冊分の本の内容紹介ということでなくそれに関するエッセイなのですが非常にポイントをついている気がしました。私はこの中の30冊は読んでいるのですが、かないません。2016/11/15
breguet4194q
86
諸々の本に対する書評と関連する風景画が掲載されてます。書評の他にも本に関するエピソードがあるなど、著者ならではの視点が面白いです。書評を参考にしてから、本編を読むのもいいかもしれませんね。2024/10/17
昼寝ねこ
81
安野光雅さんが読まれた36冊の本の感想文と、その舞台となった場所の水彩スケッチで纏められている。感想文はその本の内容紹介だけにとどまらず、広範な知識がなければ書けないような名エッセイになっている。近代小説が多いが古典や評論、哲学書、落語なども混じる。私は教科書などで断片的に読んだ本ばかりなので、そういう本もきちんと読まれた安野さんを大人の読書人だなぁと尊敬してしまった。雑誌の初出は35年程前だが、再注目されている『君たちはどう生きるか』にも触れられていて流石だと思った。2024/03/26
ぶんこ
41
安野さんの読書感想文です。「文学の面白さとは、それを書いた者と読んだ者との文章世界がどのように重なるか、その重なりぐあいだと考えていいと思う」とあとがきにかかれていたのが印象的でした。そういう観点で本を読んだ事は有りませんでした。安野さんは、絵を書く上で濫読が都合良かったからと書かれてます。あまりに数多い本(36冊)なので、ここには私の感想を書ききれません。唯一読みたい本に登録したのが田中美知太郎の哲学入門でした。哲学興味無いのに、入門が無かったので初歩にしましたが。1章毎の水彩画スケッチが素敵です。2015/03/22
ネギっ子gen
25
【安野光雅氏を偲んで】ご逝去の報に接し、ここで一冊何かレビューと思えども、引越しで蔵書が未だ未整理。探し物が見つからない!で、何とか見つけたのが、この本。結果的に、この読書メーターに最適ではと。因みに、読んだのは単行本。登録者0件では心寂しく、こちらで登録。書名通りに、上質の文章と素敵な水彩画の両者を堪能できる。おススメは石川淳『夷斎筆談』。これを、石川氏の『鷗外覚書』のパロディでやるのが粋だね。著者は<わたしはその『鷗外覚書』によって、『澁江抽斎』を読む気になった>とあるが、同じく過去に玉砕したクチ。⇒2021/01/30
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