内容説明
女心の軌跡を描く傑作推理の2長篇――古色蒼然とした5階建て赤レンガのアパートは、男子禁制の女の館だった。互いに他人を寄せつけずに暮らす、孤独な老嬢たち。そこへ突如、アパート移動工事が始まる。工事に呼応して奇怪な事件が続発し、それまで沈潜していた老嬢たちの過去が、むき出しにされた。 華麗なデビューを果たした江戸川乱歩賞の、二重のドンデン返しが見事な、サスペンス小説の傑作。その映画化が話題を呼んだ猟人日記を併録する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
60
「大いなる幻影」「猟人日記」の二長編を収録。著者の作品はこれまで短編を幾つか読んだだけであるが、どれもこれも性や人間の心の闇が地獄に繋がっている作品ばかりで読み応えがあるとともに暗いものを覗き込んだ気分になるのだが、その下地は処女作から見受けられたのであるな。「大いなる幻影」の他人の生活にひたすら興味を持つ老嬢たちも、「猟人日記」のひたすら女を漁り続ける主人公の荒涼たる心象にも読んでいてひたすら慄然とする。現在のミステリを読みなれていれば犯人はすぐわかるのだが、本書の眼目はその心理の淡いにあると思うな。2021/11/20
ROOM 237
11
乱歩が存命中最後に賞に選んだという本書、今まで読んだ屋敷系ゴシックミステリの中で最高の作品。今は無き男子禁制の巨大同潤会アパートの薄暗さと特殊構造、そこに沈殿する澱の中で暮らす老女たち…人に興味が無い人間は執着も嫉妬もしないが、暇を持て余した場合は?と問う戸川さん。汚部屋の押入れで寝るおばあの生態も凄まじいし、ドミノ倒しに起こる警察沙汰と移築工事に騒めく老女たちよ…私も住みたい!飽きさせない群像劇に読者は家政婦は見たばりに覗き見を楽しめるという、久々に読み終わりたくない良書でした。2023/06/11
ノベツ
7
シャンソン歌手の書いた推理小説という書評をどこかでみて、ひやかし気分で読んでみたが、圧巻の迫力。 お硬い文学ではなく、エログロ・サブカル寄りで、昭和の2時間ドラマ的お話だが、その何倍も良い。 猟人日記は倒叙ものなのに、完全にやられた。お見事! 長文感想↓ https://note.com/nobetsu/n/nba5620ca4b92?sub_rt=share_pb 2024/12/17
そうたそ
1
★★★☆☆2019/05/21
naginuko
1
「大いなるー」の方は人が多くてよくわからなかった…。どちらかといえば「猟人日記」のほうが面白かったんだけど。戸川昌子ってケバいおばちゃんとしか認識なかった。そんなに推理小説書いてるとは知らなかった。他のものも読みたくなったな。2016/10/15
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