内容説明
「こうやって貧乏人同士で暮らしてると、見栄も外聞も要らねえ。本音で暮らしていけるんでさあ。あるのは貧乏人の面目だけでね。だから助け合って生きていくしかねえんですよ」大人気の笑って泣ける時代小説シリーズ! 人情とお節介で名高い「おけら長屋」には、いつも騒動が舞い込んでくる。万造と松吉は記憶をなくした老人を“貧乏神”に仕立て上げ、金儲けを目論むが……「せいひん」。奉行所が追う凶悪な“髪切り魔”が十年ぶりに現れた。次々と女が襲われるなか、聖庵堂のお満にも魔の手が。お満の危機に万造は……「くらやみ」など、爆笑&感動必至の四篇を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんたろー
214
16巻にして遂に新刊を買ったが、期待を裏切らない好調ぶりで満足!『くらやみ』女ばかりを狙った連続殺人が起こり、奉行所同心・平五郎の密偵・お美弥が下手人を追うサスペンス風味。『ねんりん』渋好みに変節した弥太郎を中心にした骨董品をめぐる笑い話。『せいひん』ニセ貧乏神で一儲けを企む万松の騒動。『あいぞめ』悲恋話の解決に乗り出したお満が不穏な事件に巻き込まれ…。バラエティに富んだ4編は毎度ながらの人情喜劇と、1話が4話の解決に繋がる新しい試みも楽しめた。平五郎の好人物さと万造&お満の仲が進んだのが収穫でもあった。2021/04/14
初美マリン
132
ためておいたけど、アッという間に読み終わってしまった。私にも万造の良さが、少しはわかってきた。2021/04/14
やま
120
シリーズ16作目。字の大きさは…中。字も大きくて、テンポも良く、よく笑い、そしてしんみりとした巻でした。「せいひん」材木問屋の隠居省吾郎が、舟遊びの途中に難破して下総に流される。そこで貧しい子・お恭に握り飯を、恵んでもらい命を長らえる。江戸へ出て来て万松に捉まり、その姿から貧乏神として興行を行い、大成功…。万松は、省吾郎から聞いたお恭に、貧乏神で稼いだ大金を全て送る。貧乏神のくだりでは、よく笑ったが。最後にお恭に、稼いだ大金を渡す福の神になるとは。いい話だ、しんみり。まさに万松は、ただの貧乏でない清貧だ。2021/05/11
のり
118
物騒な事件や笑い話に感情が上下した。相変わらず「おけら長屋」の住人には見事にやられました。「お満」の窮地に駆けつけた「万造」。ただ助けるだけではなくオチがあるところが流石。普段の痴話話も、そろそろゴールが近づいてきたか。他にも年配の方々の言葉の重みもグッとくる。引き続き17巻へ突入する。2021/11/02
タイ子
110
今回は珍しく(?)のっけから捕り物長風で犯人がラストの章(4編)で判明するというサスペンスタッチ。ま、それでもおけら長屋ですから笑いあり、涙ありの人情喜劇ですけどね。「待たせたな。女先生よ」きゃっ!カッコいい万造さん。その後にズッコケるところがおけらなんだな。貧乏神と福の神の話は笑って泣けて好きですねぇ。今回は三祐でお猪口が何回も飛んで(湯飲み茶わんまで)嬉しい限り(個人的にはめっちゃこのシーンが好きなので)万松の恋も成就間近となり、鉄斎とお染さんもどうなりますやら…楽しみです!2021/04/04