内容説明
大切なものは、些細なことで壊れてしまう――。ティーン向けファッション誌の編集者・禄(ろく)は、お悩み相談ページに投稿してきた渚との間にトラブルを抱えていた。地方に暮らす中学生の郁美は親友の明日花とともに同誌を愛読中。だが、東京からの転校生・道成の存在が二人の関係を次第に変えてゆき……。出会うはずのない人生が交差するとき、明かされる真実とは。心揺さぶる新時代の青春小説。(解説・朝井リョウ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
164
『誰もが被害者にも加害者にもなる』、そんな言葉に込められた意味合いを知り、自分の生き方を振り返る瞬間を見せてくれるこの作品。『白が裏返り、黒になる。黒がひっくり返って、白になる』というオセロ。『表裏をひっくり返しても着られ』る『リバーシブル』のジャケット。この作品では”お仕事小説”と”青春小説”がパラレルに描かれていく中に、そんな『反転』にこだわった物語が描かれていました。パラレルに展開する物語が見事な融合を果たすその結末に、作者の奥田亜希子さんがこの作品に込められた深い思いを感じた素晴らしい作品でした。2022/10/17
のぶ
96
デリケートな中学生を中心にした青春小説だった。この作品は二つの視点から成り立っている。一つは、女子中学生向け雑誌「Can・Day!」の編集者のろく兄こと菊池禄。もう一つは、長野県山間部の中学生である郁美。禄は悩み相談のページでの読者とのトラブルが進行していく。一方、転校してきた種田道成の存在により、郁美と親友である明日花の関係に、徐々に溝が生まれる。二つの出会うはずのない人生が交差するときに真実が明かされる。想いを届けることの難しさと大切さが描かれていると同時に、自分の中学生時代とは変わったなと感じた。2021/04/14
やも
93
「自分では選べないようなことを持ち出して傷つけるのは、最も品性の下劣な行為」「人はね、ずっと被害者の立場ではいられないの。誰もが被害者にも加害者にもなるの。なっちゃうの。なにかでは傷つけられる側にいても、また別のなにかでは人を傷つけてる。わたしたちはね、許したり許されたりしながら、何度も何度も関係をひっくり返しながら、なんとか進んでいくしかないんだよ」…私好みの台詞よのぅ。反転と生まれ変わる。reverse&rebirth。どっちのリバースもうまく使われてて、過去と現在がリンクしていく構成も好みだった。2023/05/30
三代目けんこと
48
初・奥田本でしたが面白かった。2つの線が1つに交わり、色んな反転が見れて、それが個人的には心地よかった。『猫のお寺の知恩さん』のおばあちゃんが言っていた「どんな良い人間でも、きちんとがんばっていれば、誰かの物語では悪役になる」その言葉を思い出した。2022/06/10
エドワード
45
中学生って、子供のようで大人のようで、本当にあやうい年頃だね。長野県の小さな町に暮らす郁美は女子中学生向けの雑誌の愛読者だ。親友の明日花、転校生の道成たちと過ごす日々、キラキラの中にも人間関係の悩みが満載だ。その雑誌を編集している菊池禄の、大学生アルバイトの仁木とともに過ごす多忙な毎日。読者相談コーナー「ハートの保健室」の回答者<ロク>が菊池だと知って驚く仁木チャン。メール全盛の今でもこういうページって貴重だよね。「切り抜いて持っていたい」気持ち、よくわかる。二つの物語がつながる巧みな構成が実にお見事。2021/05/13
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