内容説明
「師」の多くは昭和から平成を彩った名棋士たち。「弟」は、今をときめく昇り竜の若手棋士。生まれた場所も世代も違い、なんの縁もなかった二人が「師」と「弟」として出会い、互いの人生に大きく影響を与え合う。時には勝負の場においてライバルともなる。一人の棋士が育つ過程を、師弟という関係を縦糸に、それを支える家族の物語を横糸に描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けぴ
48
『月に3冊、読んでみる?』に紹介されていた本。名人戦挑戦者に決まった藤井聡太と杉本昌隆をはじめとして、六組の将棋界の師弟が紹介される。写真とともに掲載された文章はこなれていて筆者がカメラマンであるとはとても思えない。特に師の森下卓のことを個性的な発言で挑発する増田康宏には今後注目したい。自宅での将棋研究は集中力を高めるため立ったまま6時間行うという。6組の棋士全員と戦ったことのある羽生善治の特別インタビューも興味深い。本日からの藤井聡太との王将戦も楽しみ。2023/03/10
Sam
43
筆者が「今後活躍が期待できる若手棋士とその師匠」として選んだ6組の師弟を描く。杉本八段と藤井聡太くんの師弟関係はすでによく知られてるところだけど、他の5組についても師匠の弟子に対する想いや愛情、弟子の師匠に対する尊敬や感謝の念がよく伝わってくるし、それぞれの師弟にそれぞれのドラマがあることもよく分かる。なんとも興味深い内容だった。最後に「文庫スペシャル」と銘打って森下九段、深浦九段、杉本八段の3師匠による座談会のおまけが付いてます。2021/07/12
Isamash
35
野澤亘伸(上智大将棋部部長のカメラマン)のよる2018年発行の著作。藤井聡太・杉本昌隆等、6組の師弟を取材。谷川浩二唯一の弟子である都成竜馬の奨励会時代の苦闘は胸を打つ。地元では天才と呼ばれる少年たちの2割しか棋士になれないのはあまりに過酷。また、少年時代心臓に難病を抱えていた佐々木大地、彼を弟子として受け入れる深浦康一の覚悟も凄い。煌めく才能で師匠には似ていない様にも思える増田康弘、糸谷哲郎、佐々木勇気の生き方も個性的で魅力大。阪大文学修士・糸谷には再度タイトル獲得を期待。増田と勇気にも本領発揮を期待。2022/09/29
緋莢
18
6組の師弟へ取材し、まとめたものと、羽生善治(取り上げられた12人の棋士、全員と対局したことがあるとのこと)のインタビュー、さらに文庫化の際に森下卓、深浦康市、杉本昌隆による鼎談「おらが弟子自慢」が新たに収録されています。対局、しかもタイトル戦で多忙な中、弟子・都成竜馬が送ってきた棋譜を検証し、要点を解説した手紙とメッセージを送った谷川浩司という師弟もいれば、「もっと自分の将棋のことだけを考えたらいいのに、周りのことや他者を心配して世話まで焼いてしまう」と心配する森信雄に対して(続く 2021/06/15
ま
16
6組の師弟の関係性を見たが、佐々木勇気の巻頭の写真のインパクトが一番すごかった。こりゃ厳しい世界だ。森下・増田師弟はとにかく噛み合ってない印象。。2021/06/21