潜匠 遺体引き上げダイバーの見た光景

個数:1
紙書籍版価格
¥1,980
  • 電子書籍

潜匠 遺体引き上げダイバーの見た光景

  • 著者名:矢田海里
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 柏書房(2021/03発売)
  • ポイント 18pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784760153206

ファイル: /

内容説明

海難事故、入水自殺、人命救助、そして2011年3月11日東日本大震災――宮城県仙台の海底に潜り続け、いくつもの「魂」を引き上げてきたプロの潜水士・吉田浩文。凄腕のダイバーとして地元自治体からの信頼も厚く、長年にわたって遺体引き上げ・捜索、救助活動に携わってきた男が目にしたものとは? 生と死、出会いと別れ、破壊と再生――「現場」に立ち会った者のみが知る様々な人間模様と苦闘を描くドキュメント。

目次

プロローグ
第1章 呼吸する者、しない者
第2章 遺体に育てられた男
第3章 蜘蛛の糸
第4章 波打ち際の夏
第5章 破滅の午後
第6章 暗い運河の水底へ
第7章 群青色の境界
エピローグ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

kinkin

118
主人公は潜水士、場面は東日本大震災後の運河から始まる。ドライスーツを装着して行方不明者を捜索する。彼の生い立ちや家族、潜水士の仕事について、遭難者や行方不明者を捜索するということ、その仕事で起きる葛藤他、彼の人生とともに語られてゆく。あの震災、津波はテレビで生で見ていた者にとっては悪夢といえばそれだけだが実体験された人にとっては未だにやりきれない思いでいっぱいだと思う。変わり果てた遺体の引き上げに臨む主人公の心情がしっかりと描かれている。図書館本2021/06/01

そら

71
潜水士、吉田浩文さんの実録の物語。父親も潜水士だった吉田さんが土木潜水士から警察などに協力する個人の遺体捜査のダイバーになった経緯が書かれている。身の危険すらある現場を信念を持って挑む姿に引き込まれる。せっかく遺体を見付けても、遺族から捜索費用を踏み倒されたり値切られたり、どんな時もお金と人はトラブルが付き物なんだなぁと思ってしまう。震災の現場の章は胸が痛んだ。北海道の遊覧船沈没の行方不明者も、吉田さんのようなダイバーたちが今も探しているのだろうか。家族の心情が伝わってくる。早く見つかって欲しい。2022/05/08

つちのこ

44
凄まじい生き方の、男の人生を見た思いだ。ダイバーの吉田浩文氏は震災後すぐに津波被害者の遺体引き上げ作業を行った人物である。仙台港に沈んだ自殺者や遭難者の遺体引き上げを手伝うちに、いつしか本業を圧迫し、倒産の憂き目に遭う。遺族から捜索費用を回収することができず負債が膨らんだことによるが、そんな苦境をものともせずに暗い海底に向かっていく。津波被害者の捜索でヘドロの海に潜る姿は、もはや使命感を超越している。この勇気と意地はどこからくるのか。粗い文章に不満は残るが、海に生きる真の男の強さを知った一冊であった。 2021/11/24

読特

37
潜る、探す、引き上げる、類まれな才能。筋を曲げない頑固さ、正義感。高校中退、母親との確執、家出。三度の離婚と四度の結婚。遺族とのけんか、元請会社との諍い。倒産、破産、車上生活。不器用な生き方、発達障害を思わせる人物像、慕う若者がいる。311、自らの危険を顧みずに果たした人命救助。復興。忘れられていく犠牲者たち。探し続ける。まだ待っている遺体がある。彼の功績に我々の社会は十分に報いているだろうか。才能を存分に発揮するだけの環境を与えているだろうか。遠くから緊縮財政が罪を犯す。50歳を過ぎ、波乱万丈は続く。2021/04/21

shikada

34
入水自殺や津波に持っていかれた方の遺体を引き上げる潜水士に密着取材したノンフィクション。遺体と向き合い続けるうちに精神が不安定になったり、潜水病に冒されたり、引き上げに要した費用を遺族が払えず肩代わりしたり、とにかく苦難の連続。この潜水士の方に引き上げを委託していた行政サイドは、潜水士の方の厚意に甘え過ぎでは…。3.11で自身も被災しながらも、遺体引き上げに携わり続けて、きっと救われた人は多いだろうと感じる。決して軽いテーマではないけど、すっと入ってきて引き込まれる文章だった。2021/03/28

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/17458806
  • ご注意事項

最近チェックした商品