内容説明
「文芸批評の巨人」像が一新される!
「政治嫌いの文学者」というイメージが強い小林秀雄。だが著作を丹念に読むと、政治、戦争への深い関心と洞察が。
新しい小林像。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
91
著者はちょっと毛色の変わった経産省の方で様々な著作をものにされています。政治を嫌ったといわれている小林秀雄をその政治的な面を抉り出しています。従来の小林秀雄論とは異なり面白い観点から分析されていて新鮮な感じを受けました。ただ若干この題名にこだわりすぎた感がありやや断片的な感じを受けます。私は橋爪大三郎さんの「小林秀雄の悲哀」の方が読みやすいと思います。2021/06/20
ミッキー・ダック
31
著者は、政治経済思想の評論家。小林は政治嫌いの文学者として知られ、日本の思想的伝統を軸とする政治学は、丸山真男から『日本の思想』の中で、日本的ファシズムの源泉だと批判されたが、著者は全くの誤解だという。小林の随筆や論文を辿りながら、小林が、戦争・政治・歴史に対して深い理解と鋭い洞察力を持っていた事を明らかにした。結論は著者が最初に明かしたように、適菜収と同じ「小林の政治思想は保守」だという解釈。先に読んだ浜崎氏の論考と一部重複するが、小林のマルクス理解や福沢諭吉論など興味深い分析に多くを学んだ。→ 2022/11/22
さきん
25
以前からのイメージが変わりつつある。どちらかというとナショナリストな印象を持っていたが、当人はイデオロギー自体を嫌っていて、その上で社会の本質を文学から探っていたという。政治が思想に凝りだすとイデオロギーになっていくのをさけるためにプラグラティズムな姿勢で臨むことが大事。もう一回戦前から戦中の小林氏の言論を読み返さないといけないと感じた。戦争に至る知識人の責任は大きいが、ただ、これを封建社会を引きずっていたから近代的かつ物量のアメリカに負けたという見方を取る丸山氏と近代そのものには取り組めていたものの2025/03/15
Tomoichi
19
難解な小林秀雄を政治をキーワードに彼の考え方を読み解いていく。積読本の小林秀雄作品を読まないとと反省。小林秀雄に興味あるならオススメです。2021/05/09
アメヲトコ
6
21年3月刊。政治嫌いを公言していた小林秀雄の著作に実は一貫した政治思想が存在していたことを明らかにしようとする野心作。「自由(フリーダム)」をキーワードとして小林の思想に迫る分析は興味深く読みましたが、一方でとくに小林の思想をプラグマティズムとして位置付けたうえで丸山眞男を批判する終盤の議論は、やや小林秀雄の威を借りたかたちでの著者自身の政治思想の披露のようでもあり、やや強引さを感じました。2021/06/17
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