集英社インターナショナル<br> 明治十四年の政変(インターナショナル新書)

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集英社インターナショナル
明治十四年の政変(インターナショナル新書)

  • 著者名:久保田哲【著】
  • 価格 ¥913(本体¥830)
  • 集英社(2021/03発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784797680645

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内容説明

明治11(1878)年、大久保利通が暗殺され、日本の舵取りは突如、次の世代――大隈重信、伊藤博文、井上馨、黒田清隆らに託された。彼らに託されたのは議会開設、憲法制定、貨幣制度など、「国のかたち」を作るという難問である。しかし、さまざまな思惑が絡み合い、政権内に不協和音が生じ、「明治十四年の政変」へと発展していく。大隈と福沢諭吉はつながっていた? マスコミに情報をリークしたのは誰か? 黒田がなぜ政権内にとどまれたのか? 五代友厚は官有物が欲しかった? 政変の黒幕は誰なのか? 政変が近代日本に与えたものとは? 「複雑怪奇」と呼ばれる政変にまつわる“さまざまな謎”を、気鋭の政治史学者が鮮やかに読み解く!

目次

序章 「最も肝要なる時間」
第1章 三傑後の「政治」
第2章 薩長の角逐
第3章 第二世代の分裂
第4章 政変
第5章 それぞれの政変後
終章 再・「最も肝要なる時間」

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

68
気鋭の政治史学者の手による日本の憲政史を決めた政変の概説書。一般には大隈の早期議会開設論と黒田の開拓使官有物払下げ事件を「喧嘩両成敗」とし、かつ当時盛り上がりつつあった民間による憲法制定を牽制するため漸進的な議会開設を伊藤博文が中心になったとされるが、これに積極財政と緊縮財政の対立、薩長藩閥に対する様々な不満、民間の論客福沢諭吉の影響力などが絡んでいる様子を見事に描き出している。伊藤の立ち回りの見事さもあるが、黒子としての井上毅の動き、そして福沢の位置付けなど、「役者」揃いの政治状況で実に面白かった。2021/08/02

パトラッシュ

65
明治14年の政変は憲法制定を巡り大隈重信と他の高官の対立が原因と理解していたが、実際にはこれほど政治的思惑が錯綜していたとは。維新の三傑亡き後で西南戦争の記憶が生々しい時期、重しが取れた各派閥が主導権を争った際に財政問題がカギであったとは思いもよらなかった。これに議会開設、開拓使事件に憲法論議が絡み脚本のない暗い舞台のような政局で、伊藤博文が井上毅や松方正義をブレーンに迎えて安定への道筋を長期的な政治構想として示すことで権力を握る過程を鮮やかに描き出す。感情で動く政治も勘定高くあれと教える教科書のようだ。2021/04/06

nagoyan

14
優。非命に斃れた大久保が維新以来の十年を振り返り将来を展望した時に、明治十年代は「内治を整へ民産を殖する」最も肝要な時代になると喝破した。積極財政か消極財政か。富国が先か議会政治が先か。大久保亡きあと、薩摩、長州、大隈、福澤、在野の民権運動家らの様々なアクターが、政府部内の財政政策をめぐる対立、議会政治に対する温度差を背景に。大隈が政府から追放されたのは何故か。追い詰められた藩閥指導者が、福沢の幻影を大隈に見て、自らの政治基盤を守ろうと、呉越同舟のまま結集した。暗躍する井上毅。それだけ福澤が怖かったのか。2021/09/04

MUNEKAZ

11
「明治14年の政変」を舞台に、維新三傑亡き後の政治状況を活写する。財政を巡る対立と議会開設の議論は、政府内の危ういパワーバランンスを崩し、最期は大隈重信の下野と黒田清隆の閑職入りで落着する。この政変での最大の勝者は伊藤博文。脅し、怒り、そして譲歩することで、常に議論の主導権を確保するその手腕は、まさに彼が次代のリーダーであることの証明か。また敗者の大隈も捲土重来を期して、政府と無用の軋轢を避けるなど、大人物の器も感じるところ。福沢諭吉の絡み方も興味深く、複雑な政局を巧みに解きほぐした良書である。2025/01/22

サケ太

10
政治劇の面白さよ。2024/09/22

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