内容説明
小学4年生の朝日は、父と10歳離れた姉・夕日の3人で暮らしている。母は朝日を産んだときに天国にとられてしまった。同級生の富樫くんや近所のカズ坊さん、町の人との交流によって少しずつ大人を理解していく朝日は、ある日、心を痛めた夕日の前で場違いな発言をし、事態が急変する――。
昭和の温もり溢れる家族の感動小説。
「解説文や書評や文芸賞の選考などなど、仕事で小説を読む時には、いつもペンを片手に持つ。気になったところ、面白かったところをチェックするためだ。
『ぼくは朝日』の文庫版ゲラもそうして読んでいたのだが、途中でペンを放り出した。素敵なフレーズ、面白ポイントにアンダーラインを引いていたら、どのページも線だらけになってしまったからだ」(荻原 弘 解説より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ikutan
78
昭和45年の小樽市を舞台に、少年の視点で描かれた家族の物語。朝日くんは小学四年生。10歳離れた姉と父親の三人家族。母親は、朝日くんの出産時に天国に行ってしまったのだ。でも温かな家族やご近所さんに囲まれ、いたって健やかな少年だ。丁寧な描写で鮮やかに浮かぶ彼らの暮らし。同じ時代に北海道で育ったので、親近感を感じちゃう。そうそう、たて笛でチャルメラ吹いたり、生き物も色々飼ったりしたなぁ。番組ネタも懐かしい。テレビと磁石の関係は知らなかったな。愛らしい朝日くんと優しい北海道弁に心癒された。荻原さんの解説もいいね。2022/08/28
fwhd8325
53
ザ昭和。朝日くんも夕日さんもとってもいい。朝倉さん同い年だからまさしくど真ん中。第1章富樫くんは、同じような経験しているから、あの感覚とってもよくわかります。優しくて、温かい物語。2021/07/10
エドワード
29
昭和45年、小樽市。小学4年生の西村朝日は、母を亡くし、父と10歳上の姉と三人で暮らす。私はこの年2年生で、同世代だ。サイボーグ009や団次郎などテレビネタは完全に同期する。家に来たカラーテレビ、市場で食品を買う場面、見事に再現される半世紀前の暮らし。「化粧台で口紅を選ぶ姉は、しっとりと湿っていてよい匂いがしそうなのだ。」「朝日は姉に何かしてあげたかった。ずっとそう思っていたような気がする。」姉へ向ける朝日の優しい眼差し。人の心がのんびりしていた時代。解説の荻原浩さんが指摘する、子供言葉の巧みさに納得。2023/08/01
やぎ
7
1970年の北海道小樽が舞台。小学校4年の西村朝日くんの日常を描いたアットホームな物語が6編。リボンジュース、MG5、布施明、黒猫のタンゴ、年齢が近いからとても懐かしい。家族の表情やしぐさの描写、心理描写がとても巧く表現された作品。朝日、夕日という姉弟の名前もいいですね。夕日の恋愛は意外でしたが、朝日の何かあれば笛を吹くという面白いクセがラストシーンでほのぼのとさせた。2021/09/28
次へ
5
あー、私も昔は痛い子供だったなぁ、と郷愁を誘われる小学生のお話。 でも、本当にしんみり感じるのは、直接語らずに回りくどく匂わせる姉の夕日やお父さんの心情の方でした。2021/08/29
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